子ども3人のために夫婦で今後のことを話し合い、離婚協議書が完成すると少しほっとするでしょう。
私も離婚協議書が完成した時点で「あとは離婚届だ!」と気持ちが明るくなったのをよく覚えています。
でもその前に、離婚協議書を公正証書にすることについてちょっと考えましょう。
我が家はいろいろ調べて考えた結果、最終的に公正証書にはしないことに決めました。
この記事では公正証書の概要や作り方、公正証書を作ることのメリット・デメリット、どうして我が家は離婚協議書を公正証書にしなかったのかについてお話します。
これから公正証書について考える、またはこれから公正証書の手続きをしようと思っている方へ、参考になれば幸いです。
Contents
公正証書とは?
公正証書というのは、「公証人」と言って法律の専門知識を持った人が、法律に従って作る公的な文書のことです。
公正証書は離婚協議書に比べると、証明力や強制執行力は断然強くなります。
例えば、養育費について取り決めたのに相手が支払ってくれないという場合、公正証書があれば裁判所の判断を待たずに、すぐに給料を差し押さえるなどして強制的に回収することができるのです。
そのため、慰謝料・養育費・財産分与など、金銭的な取り決めがある場合は公正証書を作成しておいた方が良いとよく言われます。
公正証書ってどこでどうやって作るの?
公正証書の作成は、公証役場で行います。
公証役場は法務局の管轄で全都道府県に約300か所設置されています。
市役所などとは全く違うものなので、勘違いしないようにしてくださいね。
全国各地の公証役場の場所は、こちらのサイトから検索できます。
CHECK⇒ 日本公証人連合会ホームページ
公正証書を作るのにかかる費用は?
公正証書を作るのには手数料がかかります。
公証人手数料と呼ばれますが、離婚契約の場合は慰謝料・養育費・財産分与など、支払いの対象となる金額に応じて、手数料が決まっているのです。
目的の価額 | 手数料 |
100万円以下 | 5000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3000円に5000万円までごとに1万3000円を加算 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5000円に5000万円までごとに1万1000円を加算 |
10億円を超える場合 | 24万9000円に5000万円までごとに8000円を加算 |
引用:公証人手数料令第9条別表【法律行為に係る証書作成の手数料】より
一般的に、養育費だけの取り決めだったら手数料は2~3万円程度ですみますが、それに慰謝料や財産分与などが加わると、手数料の総額は5万円を超えることもあります。
また、行政書士や弁護士などに手続きの代行をお願いする場合、公証人に出張してもらう場合にはさらに費用がかかります。
公正証書を作るときに必要なものは?
公正証書を作成するには、夫婦で取り決めた内容によって様々な資料を用意する必要があります。
- 離婚協議書
- 実印と印鑑登録証明書(夫婦それぞれのもの、発行から3か月以内のもの)
- 戸籍謄本(発行から3か月以内のもの)
その他必要に応じて
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産評価証明
- 住宅ローンの関係書類
- 自動車ローンの関係書類
- 年金手帳(夫婦それぞれのもの)
などを準備します。
公正証書を作るメリットは?
- 夫婦で取り決めたことを確実に証明できる力がある
- 金銭面で支払いが滞ったときに、給料や預金の差し押さえなど裁判を待たずに強制執行できる
- 紛失したり汚したりした場合に再発行ができる
- 内容に間違いがない
公正証書を作るデメリットは?
- 時間がかかる
- お金がかかる
- 夫婦で出向かなければならないため精神的に負担になる
我が家が公正証書を作成しなかったわけ
ネットでいろいろ調べていると、離婚協議書は公正証書にしておいたほうがいいという情報が多いので、私と元夫も最初はそうするつもりでした。
しかしそこまでする必要があるかな?と考えたんです。
我が家の場合は次の2つの理由からです。
1.住んでいる場所に公証役場がない
私たちが住んでいる場所には公証役場がなく、いちばん近い公証役場へ行くのも、船で3時間以上かかるのです。
行政書士さんにお願いすれば手続きを代行してもらえるのかな?と思って、こちらに問い合わせてみました。
CHECK⇒ 離婚相談長崎
http://rikon-k.fukamatsu.net/index.php?FrontPage
しかし、離婚に関しての公正証書はやはり夫婦そろって手続きに行かなければならないとのことでした。
二人で平日に仕事の休みを合わせて1日がかりで出かけるとなると、その間子どもたちはどうするのか、船が欠航になったらどうするのか、などと考えるとかなりの負担になるなと思いました。
それに、これから離婚しようとする夫婦がそろって出かけるなんて、想像しただけでもゾッとします。
2.お金に関する取り決めが少なかった
離婚協議書に記載した内容で、お金に関する取り決めは養育費と財産分与だけでした。
しかも養育費は月に3万円だけだし、財産分与も現金と預貯金を分けただけでその他は特になし。
元夫はいずれ仕事も辞めて別の目標を追いかけるようなことを言っていたので、その間は職なしになりもっとお金がなくなる可能性が高い。
もともとお給料も少なかったし、貯金も大して持っていない、こんな人が養育費を払えなくなったからと言って給料や預金を差し押さえたところで、もらえるものは限られています。
それはわかりきったうえで取り決めた養育費だったので、公正証書を作る労力とお金に釣り合わないなって思ったんです。
そこまでする必要はないなって。
というわけで、我が家では離婚協議書にお互い署名捺印したものを保管し、公正証書は作らないことにしました。
おわりに
離婚協議書を公正証書にするには、それなりの労力とお金と時間がかかります。
しかし、お金に関する取り決めが多い場合は、いざという時に公正証書があると法的な効力が強いので安心と言えるでしょう。
ただ、我が家のようにそれほど必要性を感じないのであれば、公正証書を作らないケースもあります。
離婚協議書だけでも契約書としての効果はそれなりにあるそうですが、公正証書を作るのと作らないのとどちらが良いとは一概に言えませんので、ご家庭の状況とメリット・デメリットをよく考えてから決めてくださいね。