どうも最近の夫(妻)の行動が怪しいから、不倫をしているかもしれない…
真実を確かめるために、「夫の車にGPSを忍ばせてみよう!」と考えたとき、次のような疑問などが浮かぶでしょう。
- 夫の車にGPSを設置することは違法?
- GPSの設置が配偶者にバレたら、自分の立場が危うくなる?
- ラブホテルの滞在を示すGPS履歴は、裁判でも通用する不倫の証拠になる?
配偶者の不倫調査をするために、GPSを忍ばせるのは有効な手段ですが、方法を間違えると違法となり、最悪は逮捕されることに。
ここではGPS設置が合法・違法になる場合や、不倫がうかがえるGPS履歴の証拠能力を解説します。
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必要やむを得ない範囲でのGPS使用は可
夫や妻に身の回りにGPSやカメラ、盗聴器を仕掛けることについては、多くの法律家は次のような解釈をしています。
夫や妻の不倫が疑わしい状況に加えて、その事実確認または証拠を確保するために、必要やむを得ない範囲であれば違法ではない。
これらの調査方法が違法となると、法律は不倫を認容していることになるので、道理にかなった解釈でしょう。
違法にあたってもメリットのほうが大きい
なかには夫婦間であっても、GPS設置はプライバシー侵害にあたり、違法だと考える方もいます。しかし配偶者も不貞行為をしており、その行為のほうが違法の程度は大きいです。
仮にGPSや盗聴器を仕掛けたことが、プライバシー侵害になったとしても、その慰謝料の金額は数万円どまり。GPSなどで不貞の証拠を入手できれば、相手の損害より、こちらの損害の方が金銭的に多くなります。
つまりGPSや盗聴器など仕掛けることにより、不貞行為の証拠を入手するメリットとデメリットを比較したならメリットの方が大。
こちらのプライバシー侵害の慰謝料の支払いを考慮しても、GPSなどで証拠集めをするメリットがあるでしょう。
配偶者にGPS設置がバレてもひるまない
実際、不貞行為の裁判の場において、GPSなどの設置により得た証拠が多く提出されています。そのことで損害賠償の支払い義務が生じたり、提出した証拠が裁判で排除される事態は基本的にあり得ません。
仮にGPSなどを仕掛けたことが配偶者にバレて、「違法だ!」と騒がれても、ひるむ必要はありません。
「そもそもGPS設置は適法。あなたの不貞行為はれっきとした違法だ!」と反論すれば大丈夫です。
現実問題、配偶者のプライバシーを侵害することなく、不貞行為の証拠を収集するのは不可能。
裁判所も必要やむを得ない範囲であれば、その行為を問題視しませんので、ここは割り切って考えるべきです。
共有財産にGPS設置するのは合法
夫婦の共有財産である自家用車などに、GPSを設置するのは問題ありません。
共有財産とは
共有財産とは、婚姻中、夫婦が協力して築いた財産のことです。名義はどちらであろうと関係ありません。
たとえ収入がない専業主婦であっても、そのぶん家事育児に貢献しているため、財産形成に貢献しています。よって婚姻後に取得した財産は、すべて共有財産となるのが基本です。
共有財産である車などにGPSを設置しても合法なのは、自分の持ち物にGPSを設置するような解釈になるからです。
鞄や衣服にGPSを忍ばすことについて
配偶者の鞄や衣服にGPSを忍ばせることは、夫婦であってもプライバシー侵害になる可能性はあります。ビジネス鞄や衣服などは、各自が専用で使うものであるため、共有財産にはならないからです。
GPS設置が違法となる場合
次のようなところや物に、GPSを設置するのは違法となります。
個別に内容を解説します。
不倫相手の車に設置
夫婦という関係だからこそ、共有財産である自家用車にGPSを設置するのは許容されます。
しかし、他人である不倫相手となるとプライバシー侵害の程度が大きいです。ストーカー規制法に触れる行為であり、刑罰を科せられる可能性があります。
別居先の敷地などに侵入し設置
配偶者の実家など別居先の敷地に侵入し、車にGPSを設置するのは違法です。不法侵入になる可能性があるからです。
無断でGPSアプリを入れる
配偶者のスマホをロック解除して、無断でGPSアプリをインストールするのは違法です。
「不正指令電磁低記録に関する罪」「不正アクセス禁止法」に抵触する行為であり、刑事罰に科せられる可能性があります。
共有財産以外の車などに設置
婚姻前から配偶者が所有する自家用車に、GPSを設置すると違法となります。共有財産ではないからです。
同様に、配偶者の勤務先である営業車などにGPSを設置するのも違法です。
GPS履歴は決定的な証拠にはならない
GPS履歴の証拠能力についてお伝えします。
夫や妻の自家用車などにGPSを忍ばせたところ、ラブホテルに滞在している履歴がバッチリ残っていた。「だから、裁判でも不貞行為の立証はできる!」と普通は思いますよね。
ところが裁判所は、GPS履歴だけでは不貞行為があったとは基本的に認めないでしょう。
次のような反論が可能だからです
「運転中に眠たくなって危ないと思ったから、睡眠をとるために利用しただけだよ。」
「友人に車を貸していたから、俺がラブホテルに行ったわけではない!」
「その位置情報は間違っている。私はそのラブホテルの横のビルの居酒屋で友人と飲んでだけ」
こちらが絶対に嘘だ!と反論しても、このような状況になる可能性はあります。よって裁判所は、GPS記録だけでは不貞行為があったとは認めてくれません。
「裁判所は不倫した人間の味方するの!」と感じるかもですが、裁判所は証拠や客観性を重視するため仕方がありません。
※ ラブホテルと不倫に関する詳細は「ラブホテルで不倫をした夫と不倫相手に慰謝料請求する【必要な証拠】」で取り上げています。
他の証拠を組み合わせる
お伝えした通り、GPSの履歴だけでは不貞行為を立証させるのは難しいですが、他にも不倫の証拠があれば可能性がでてきます。
例えば、ラブホテルにいたことがわかるGPSの履歴を夫に見せて、不倫をしているでしょ?と問い詰めたとします。
夫は観念して不倫事実を認めたので、不貞行為の事実や経緯などを書面に書かせて証拠として残した。
この2つの証拠を組み合わせることで、信ぴょう性が増すため、不貞行為があったと認めてもらえる可能性が高まります。
※ 配偶者が不倫の事実を認めたときに書かせる書面の詳細は「夫や妻に不倫を白状させる方法と【不倫念書】を書かすべき理由を解説」で取り上げています。
GPSとLINEで不貞行為を立証させる例
証拠を組み合わせる具体例をもう1つ紹介します。実際にあった内容です。(内容は一部変えています。)
夫がラブホテルにいたGPSの履歴が残っている同日に、夫が不倫相手と次のようなLINEのやりとりをしているのを見つけた。
19:45 夫「これから会える? 〇〇のラブホテルいかない?」
19:47 女性「うん、いく、会いたい!」
20:13 夫「〇〇ちゃんの自宅前に着いたよ」
~車載GPSの位置が20:30~23:40ラブホテル~
24:20 女性「一緒にいれて嬉しかった、ありがとう!」
24:01 夫「俺も!〇〇ちゃん超エロかった」
24:03 女性「〇〇君こそ野獣だったよ笑」
24:05 夫「俺たち本当に体の相性いいよね」
24:06 女性「うん、すごいピッタリ♡」
24:08 夫「また今度は違うホテルで楽しもう!」
24:10 女性「そうだね。〇〇に行きたい!」
24:12 夫「了解!次に一緒になれるの楽しみ」
24:42 GPSの位置が夫の自宅
このように性交渉があったことが明らかにわかるLINEのやりとりと、ラブホテルの位置を示すGPS履歴がある。この2つをセットにして提出すれば、裁判所は不貞行為を認める可能性は高いでしょう。
ちなみに、LINEの当事者が特定できるのなら、上記のやりとりだけでも不貞行為の立証できる可能性もゼロではありません。
※ LINEやメールの証拠能力などの詳細は「不倫(不貞行為)のLINEやメールを発見!裁判でも通用する証拠?を解説」で取り上げています。
GPS履歴が不倫相手の自宅と一致している場合
GPSで特定された地点が、不倫相手の住所が一致する履歴データがある場合の証拠能力はどうでしょう。
これも同じく、GPSの履歴だけでは裁判所は不貞行為があったとは認めないため、他の証拠が必要です。
手に入れやすい証拠としては、配偶者が不倫事実を認めた書面。その日に不倫相手の自宅に滞在した事実がわかる、LINEなどのやりとりを証拠化したものでしょう。
他には、入手する難易度が高くなりますが、不倫相手の自宅に出入りする瞬間を押さえた写真や動画です。
このような証拠に加えて、さらに次の要件も満たす必要があります。
【不倫相手の自宅の滞在が夜間で長時間に及ぶこと】
まとめ
GPS設置が合法・違法になる場合や、不倫がうかがえるGPS履歴の証拠能力を解説しました。最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 共有財産の車にGPS設置するのは合法
- 不倫相手に対する設置は犯罪になる恐れがある
- 無断でGPSアプリをインストールするのも同様
- GPS履歴は不貞行為の決定的証拠にはならない
- GPS履歴×他の証拠で不貞行為の立証が可能
GPSの設置は夫婦の共有財産だけにしましょう。それ以外の場所などの設置は違法となる可能性があります。
不貞行為を立証するには、不倫がうかがえるGPSの履歴以外にも、その他の証拠を用意するのが必須です。不倫に少しでも関連するのなら、些細なものでもすべて取っておくのが鉄則となります。
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