夫や妻の不倫相手に慰謝料を請求したいと考えるも、どうやって請求すればいいかよくわからない方は多いのではないでしょうか。
その状況で実際に請求すると、解決までに時間がかかったり、さらなる精神的苦痛を負うことになりかねません。
ここでは不倫相手に対する慰謝料請求の主な仕方を解説。本記事を読めば、正しい慰謝料請求の仕方がわかり、不倫相手に責任をしっかりと取らすことが可能です。
自身の状況に合った適切な請求の仕方が見つかります。
不倫相手に対して慰謝料請求できる要件
不倫をされた側の配偶者が、不倫した配偶者の不倫相手に対して、慰謝料請求できるための主な要件は次の通りです。
個別に要点をお伝えします。
2人に性交渉があった
配偶者とその不倫相手との間に、性交渉（肉体関係）があることが必要です。
単に、手をつなぐ、キスをするなどプラトニックな関係である場合は、不倫相手、配偶者ともに、原則慰謝料を請求できません。
不倫相手が既婚者だと知っていた
不倫相手が相手を既婚者と知りながら、性交渉をした事実が必要です。
不倫相手は自分の行いが、相手の配偶者に対して精神的苦痛を与えたり、場合によっては夫婦関係を破壊する行為だとわかっています。
つまり、不倫相手は自身が加害者である認識があるゆえに、被害者である相手配偶者に責任を負うことになります。
婚姻関係（夫婦関係）が破たん状態ではない
慰謝料が請求できる根拠は、不倫が原因で婚姻関係が破綻や、ヒビが入ることにより、被害者の精神的平和を乱されたためです。
よって性交渉を行ったとき、既に夫婦関係が破綻していた場合には、判例上、法的に保護すべき利益がないとされます。結果、不倫相手、配偶者ともに慰謝料を請求できません。
不倫相手の情報がわかること
不倫相手に対して慰謝料を請求するには、不倫相手の情報を知っておく必要があります。どこの誰かがわからないと請求しようがないからです。
不倫相手の名前や住所は、基本的に不倫をした配偶者から聞き出します。配偶者がどうしても教えない場合は、弁護士を通じて、または探偵を利用して調べることになります。
※ 不倫相手の身元が不明な場合の対処法は「不倫相手の名前や住所を教えない場合の対処法【携帯番号でわかる？】」で取り上げています。
不倫の証拠がある
不倫の証拠がなくても慰謝料を請求することは可能です。しかし、不倫相手が事実を認めずに裁判になった場合、証拠がなければ請求は認めてもらえません。
※ 不倫の証拠について詳細は「【不貞行為の証拠集め】証拠になるものを解説｜不倫の自白は立証可能？」で取り上げています。
※ 不倫相手に対して慰謝料請求できる要件の詳細は「不倫相手に慰謝料請求するには？【故意過失など請求要件5つを解説】」で取り上げています。
不倫相手に対しての慰謝料の相場
不倫の慰謝料の額については、明確な基準がありません。とはいえ、ある程度の基準がないと決めようがないでしょう。
判例や弁護士などの法律家が目安として挙げている額を、参考にし、ざっくりまとめました。
慰謝料の相場
1回限りの不貞行為：～50万円
離婚に至らない場合：～100万円
離婚に至る場合：100万円～300万円
金額はあくまで目安でしかありません。裁判外（示談）の場合は、当事者が合意できれば慰謝料額を自由に決められるからです。
ただし相場的な額からかけ離れた金額を請求しても、不倫相手が応じる可能性は低いでしょう。
※ 不倫慰謝料の詳細は「不倫慰謝料とは｜目安はどれくらい？ 【離婚しない場合も含め解説】」で取り上げています。
不倫相手に対する慰謝料請求の仕方は3つ
不倫相手の慰謝料請求の仕方に特に決まりはありませんが、基本的には次の3つが執られています。
個別に内容の詳細を解説します。
不倫相手と直接会って請求する
不倫相手と直接会って慰謝料を請求する仕方は、その日だけで解決できる可能性があります。
不倫された側の配偶者は、ショックのあまり精神的に不安定な状態になっている方が多いです。うつ病を患う方も珍しくありません。
被害者である配偶者の精神的負担をできる限り少なくするには、可能な限り早く問題解決すること。問題の解決が長引くほど、精神的・身体的な負担が圧し掛かるからです。
一般的な方法である書面での慰謝料請求は、書面を作る時間や送付する時間、相手の返答を待つ時間など、とにかく時間が掛ります。
加えて、一度の書面送付で問題解決することはなく、通常は何度も書面のやり取りをしなければなりません。よって、2カ月以上の期間を要するのが普通です。
不倫相手と会う約束をとりつける
不倫相手と直接会って慰謝料を請求する手順をお伝えします。
まずは不倫相手に電話やLINEなどして、2人で会う日を決めます。
場所はファミレスや喫茶店など、人がそれなりにいるところが適切。後になって「脅迫されたから示談書に署名した」と言わせないためです。人が多い場所なら、そのような言い逃れも防げます。
不倫相手と会う日の約束をとり付ける際は、次のようにストレートに用件を伝えてはいけません。警戒して拒否される可能性が高いからです。
「あなたに不倫の慰謝料を払ってもらうための示談書を書いてほしいので、〇〇に来てください」
不倫相手に来てもらうためには、次のように具体的なことは伏せて約束を取りつけましょう。
「私の主人との件で話を聞きたいから、次の日曜日の13時にファミレスの〇〇で待ち合わせしましょう」
慰謝料請求する旨を伝えるのと比べて、不倫相手がくる可能性は高まります。
示談書に署名・押印してもらう
当日に不倫相手と実際に会ったときに、不倫の慰謝料請求を口頭で行います。不倫相手が応じるのなら、その場で事前に用意していた示談書に署名・押印させましょう。
印鑑は100円ショップなどで購入して、不倫相手の分もこちらで事前に用意しておきます。
不倫相手が慰謝料支払いに応じたとしても、こちらで用意した示談書の内容のすべてに応じるとは限りません。特に金額面や支払い方法に関しては不倫相手の都合もあり、即同意を得るのは困難だと予想できます。
※ 示談書の詳細は「不倫（不貞行為）の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】」で取り上げています。
慰謝料減額などの要望にすぐに対応するには
即日に問題解決するためには、不倫相手からの慰謝料減額などの要望にすぐ対応する必要がありますが、次の準備をすれば可能です。
ノート型パソコンやタブレット、スマホなどに示談書のデータを用意。示談書の内容に修正が必要ならば、その場で直して携帯用のA4プリンターで印刷すれば即対応できます。
携帯用プリンターが用意できない場合は、近くのコンビニで印刷する手段もあります。
直接会うと余計に傷つけられるリスクがある
不倫相手に直接会って慰謝料を請求する仕方は、その日のうちに問題解決に至る可能性がありますが、その分リスクも高いです。
不倫相手に不誠実な対応をとられる可能性があるからです。実際に不誠実な人物ならば、さらなる精神的苦痛を負います。
「不倫される方に問題があるのじゃない！？ あなたの夫に対する日頃の行いが悪かったから、不倫されるのよ！」
こちらが欲しい謝罪はまったくなく、このような暴言を吐いてくる人物も一定数いるのです。
不倫相手に不誠実な対応をされたときは、ついつい感情的になり、こちらが脅迫的な対応をとる恐れも。それが原因で立場が悪くなる可能性もあります。
以上のように、不倫相手に直接会って請求する場合は、さらに傷つけられる可能性が十分あるため基本的にはおススメしません。
書面で請求する
不倫相手の慰謝料請求の一般的な方法は「書面」によるものです。不倫相手に直接会って請求する場合、ついつい感情的になり、言うべきことが伝えられない場合も多くあります。
一方、書面の場合は落ち着いた精神状態で文面を作れるため、主張すべき内容を不倫相手にしっかり伝えられます。
慰謝料請求の書面は【内容証明郵便】で送るのが一般的です。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、どこの誰が、いつ、誰に対して、どんな内容の文章を送ったかを郵便局が証明してくれる郵便物です。
通常、一般人が受け取ることがない郵便物であり、実物も郵便局の押印が多くあるなど威圧感があります。
内容証明郵便で慰謝料を請求する効果
内容証明郵便で慰謝料を請求すれば、不倫相手に強いプレッシャーを与えることが可能です。
受けとった書面には次のような内容が載っています。
- こちらが受けた被害や精神的苦痛の程度
- 不倫相手の行為は法的に許されないこと
- 事実を認めない場合は裁判も辞さない旨…など
普通の人間ならば、特殊な郵便物が届き、このような内容が載った書面を見れば、頭が真っ白になりますし、少なくとも焦るでしょう。そして自分のしたことの重大さに気づくのです。
結果、不倫相手はこの問題と真剣に向き合うようになり、こちらとの解決に向けての話し合いに応じやすくなります。
送付した書面の全文が郵便局に保存されるため、後々裁判に発展した場合に備え、請求事実の確実な証拠を残す意味もあります。
※ 内容証明郵便の詳細は「不倫問題で内容証明郵便を使うメリットを解説【請求書の例文あり】」で取り上げています。
不倫相手に慰謝料請求を応じさせるポイント
不倫相手に慰謝料請求を応じさせるポイントは、【話し合いの土台に乗せる】ことです。
不倫相手に対して、相場にあまりにもかけ離れた慰謝料額を請求するのはNG。不倫相手は話し合いの土台に乗らず、やりとりが進まないので問題解決できないからです。
事態が膠着すれば裁判などに進むほかなく、請求者のさらなる精神的負担や労力・費用の増大、問題解決が長期化してしまいます。
※ 適切な慰謝料請求額の設定の詳細は「不倫相手に対する適切な慰謝料請求額の決め方【計算式はありません】」で取り上げています。
調停や裁判で請求する
不倫相手に対する慰謝料請求は、裁判所の制度である「不倫調停」や「不倫裁判」を通じてもできます。
不倫裁判は半年ほどの時間と多額の費用が必要なため、不倫調停ならまだしも、最初から裁判を起こすのは現実的ではありません。
示談で解決を試みたが、不倫相手が請求を無視する、または拒否をしてくる場合などは、これらの制度を利用する流れとなります。
不倫調停は話し合いで解決を目指す
不倫調停とは、家庭裁判所や簡易裁判所にて当事者と調停委員という中立的第三者を交え、非公開で行われる話し合いです。
調停委員は双方の主張を聞き、その主張を基に問題解決のための解決案などを提示し、問題解決に導く役割があります。
自分で行う場合の主な費用は、申し立て費用や現地までの交通費、切手代と少額です。
※ 不倫調停の詳細は「不倫慰謝料請求調停の流れやメリットなど解説【不倫相手の責任追及】」で取り上げています。
不倫裁判の判決には強制力がある
不倫裁判とは、裁判所へ訴状を提出し、公開法廷で、口頭弁論により進められる手続きです。
口頭弁論が終了すれれば、裁判官により強制力がある判決が下されます。
慰謝料の支払いを認める判決がでれば、不倫相手がどれだけ拒否しようとも、最終的に慰謝料を払わすこと可能です。
判決は、過去の判例や相場などから、合理的に判断され、決定されます。
※ 不倫裁判の詳細は「不倫裁判のメリット・デメリットや流れを解説【勝訴判決を得られる証拠】」で取り上げています。
不倫相手が慰謝料の支払いに応じたなら示談書を作成
慰謝料を請求し、不倫相手が慰謝料の支払いに応じたなら、必ずそのことを【示談書】などの書面に残しましょう。後日の紛争やトラブルを避けるためです。
示談書には、最低限でも次の内容を載せる必要があります。
- 不貞行為の事実
- 慰謝料額
- 支払日
- 振込口座…など
示談書を作成せずに、口約束だけで済ませた方の多くは約束を反故されています。必ず作成しましょう。
調停や裁判で解決した場合は、裁判所が示談書なるものを作成してくれます。
※ 不倫の示談書の詳細は「不倫（不貞行為）の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】」で取り上げています。
まとめ
不倫相手に対する慰謝料請求の主な仕方を解説しました。
もっとも早く問題解決できる可能性があるのは、不倫相手と直接会って請求する仕方ですが、リスクは大きいです。事前に不倫相手が事実を認め、謝罪をしている場合以外は控えた方がいいでしょう。
一般的な慰謝料請求の仕方は、内容証明郵便を利用した書面の請求です。書面を受けとった不倫相手は、精神的に大きなプレッシャーを受けます。結果、事実を認め慰謝料についての話し合いに応じやすくなります。
慰謝料請求を成功させる鉄則
夫や妻の不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるための鉄則を取り上げています。
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不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるためには、慰謝料請求の全体像や流れを事前に押さえる必要があります。
