夫や妻の不倫相手に対して、サンプルを参考に慰謝料請求の書面を作成し、内容証明郵便で送ったが無視されてしまった…。
こちらの家庭をボロボロにした挙句、無視してくるなんて信じられない！ という怒りの気持ちで一杯でしょう。しかし自分で慰謝料請求した場合は、こちらが無視される原因を作っている可能性があります。
ここでは自分で不倫相手に慰謝料請求をしたが無視される理由と、無視されたあとの対処法を解説。本記事を読めば、無視している不倫相手を話し合いに応じさせることが可能になります。
Contents
不倫相手に回答を強制できない
慰謝料請求書を不倫相手に送る場合は、次のような内容を載せるのが一般的です。
【請求内容の履行期限を本書到達時より1週間とします】
1週間などの履行期限を設けても、不倫相手には慰謝料を払う義務はありませんし、何らかの回答をする義務もありません。よって履行期限を守らなくても、まったく問題はないです。
ただし不倫をしたのは事実であり、それにより被害者側の配偶者は、慰謝料を求める権利はあるわけです。よって、その請求を無視するわけにはいかず、何らかの回答が届くのが一般的です。
サンプル通りの慰謝料請求書だと無視される理由
不倫相手に慰謝料請求を無視される原因でもっとも多いのは、一般の方がサンプルを参考に慰謝料請求書を作成した場合です。
現在、夫や妻の不倫相手に対する慰謝料請求の文面のサンプルが、ネットや本などでたくさん載っています。例えば、次のような内容です。
慰謝料請求書
私は、〇〇〇〇の妻・〇〇と申します。昨年の冬頃から夫の言動に不自然な点が多く、探偵会社に調査を依頼したところ、あなたと夫が不倫関係にあることが判明しました。
このことより、私と夫の婚姻関係は破綻の危機になり、私は強い精神的苦痛を受けています。
よって、夫との交際を今後一切中止するよう強く要求すると共に、この不倫によって受けた精神的苦痛に対して、慰謝料〇〇〇万円を本書到達後10日以降に下記の私の銀行口座に支払うように請求します。
なお、万が一上記期間内にお支払いが無い場合は、訴訟等法的手段をとることを申し添えます。
一見、不倫相手が慰謝料支払いに応じそうな文面に思えます。でもお伝えしている通り、サンプル通りの慰謝料請求書を送りつけても、無視される可能性は高いです。慰謝料が振り込まれる可能性に関してはゼロでしょう。
書面一通だけでの解決は無理がある
先ほど内容のような請求書では無視されるのも当然です。「慰謝料として〇〇〇万円を払ってください⇒はい、振り込みました」とは普通ならないからです。
1、2万円ならまだしも、ときには100万円単位になる大金を【書面1通だけ】で、振りませるのはそもそも無理があります。
仮に不倫相手が慰謝料を払う気があっても、「この請求書の通りに払っても、また要求されるのでは？」という不安を覚えます。この不安を解消できないと払えない、となるのも当然の心理でしょう。
しかし慰謝料請求書のサンプルの多くは、それを求める内容となっているのです。
不倫相手の選択肢が2つしかない
問題点は他にもあります。先ほどのようなサンプルの文例だと、不倫相手の選択肢は2つしかありません。
【慰謝料を払う or 訴訟を起こされる】
不倫相手からすれば、「請求額通りの慰謝料を払うのは嫌だし、訴訟を起こされるのも嫌。どうすればいいか分からない…」このように思考が停止に陥り、現実から逃げるように慰謝料請求を無視するパターンが多くあります。
もちろん、何らかの連絡をしてくる相手もいますが少ないです。
慰謝料請求書を無視されないためには
不倫相手に慰謝料請求を無視されると、当然ながら傷つくし、さらに怒りが増します。加えて、こちらの選択肢も次の2つに狭まります。
【訴訟などの法的手続きをとる or 請求を諦める】
「不倫相手に何の責任も負わせず終わらせるなんて、絶対に許せないけど、負担が大きい裁判までしたくない…」 このようなジレンマに陥るのは避けなければいけません。
こちらとしても慰謝料請求を無視されるのは問題なので、道徳観が欠落した相手でなければ、話し合いでの解決が望ましいのです。
不倫相手を話し合いのテーブルに誘導する
不倫相手にこちらの慰謝料請求を無視されないためには、サンプルに次のような文章を加えましょう。
請求を無視されないための文章
なお、あなたの考えや他の解決案等の提案があれば、文書にて私宛に通知してください。内容によっては和解に応じることもあります。
このような文章があることで「慰謝料を下げてください」、「分割払いにして下さい」など、何らかの意思表示をしやすくなります。つまり、こちらとの話し合いのテーブルに誘導するのです。
話し合いのテーブルに着かせれば、そこから書面を通じて不倫相手と交渉を重ねましょう。慰謝料額や支払い方法などを詰めていき、最終的には示談書を交わす流れとなります。
慰謝料請求書は、あくまで話し合いのテーブルに着かす手段であり、最初から決着をつけるものではありません。請求側とすれば一気にケリをつけたいところですが、そう簡単にいかないのが現実です。
回答がこない場合の対処法
話し合いに誘導させる、慰謝料請求書を送った後の不倫相手の主な反応は次の通りです。
- 全て認める（全額支払いに応じる）
- 減額や分割いの申し出
- 言いわけ（弁解）
- 事実を否認
- 回答が来ない
① は期待できないため、可能性はないと思っておきましょう。
② は払う意思があるため、具体的に話を詰めて、最終的に示談書を作成する流れとなります。示談書の詳細は「不倫（不貞行為）の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】」で取り上げています。
残念なのが、③ や ④ のように言いわけをして、責任逃れしようとする不倫相手は多くいます。その場合の対処法の詳細は、「【不倫相手が慰謝料を払わない】主な3つの理由と適切な対処法を解説」で取り上げています。
話し合いに誘導した請求書でも、不倫相手が「無視すれば何とかなる！？」という考えから、回答がこない場合があります。
最終通告書を送る
不倫相手に慰謝料請求を無視されたから諦める…という訳にはいきませんよね。不誠実な対応をとられた以上、許せない気持ちがさらに高まったでしょう。
慰謝料請求を無視された場合の対処法は、次のような内容を載せた【最終通告書】を送ることです。
貴殿は令和〇〇年〇〇月〇〇日に当該請求書を受け取っています。そのことは郵便物配達証明書にて当方も確認しております。しかし、請求内容の履行期限を過ぎた本書発送時点、貴殿からは何ら回答も頂いておりません。
このような行為は誠意に欠けている為、私は更なる精神的苦痛を受けました。よって請求書の内容通り、現在〇〇〇〇裁判所に慰謝料請求訴訟の申し立て準備をしております。
ただ私としても、訴訟を行うことは本意ではなく、早期解決をして、1日も早く精神的苦痛から逃れたいと考えております。つきましては、本書を最終通告として再度貴殿に対し、請求内容の履行を本書到着後〇日以内に求めます。
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最終通告書に不倫相手は恐れる
最終通告書を送ることで、無視をして現実逃避をしている不倫相手は、もはや逃れられないと観念して回答を送ってきます。
「回答しようと思っていたが、忙しくて送れなかった」などのような言いわけが入っていることが多いです。
最終通告書を送る時期
最終通告書は慰謝料請求書に載せた履行期限から、1週間から10日ほど経った頃に送るのが無難でしょう。
期限が経過後にすぐに送ることで「今、回答書を送ろうとしていたのに何て横暴な奴だ！」と不倫相手が逆ギレする場合もあります。理解に苦しみますが態度を硬化させる人物もいるため、期間は置きましょう。
最終通告も無視されたら裁判手続きを
世の中には、不倫にまったく罪悪感がない人物も稀にいます。
不倫をすれば慰謝料を払う義務があることを理解しようしない、または理解できないのです。不倫相手がこの価値観なら、最終通告も無視されます。
最終通告を無視されたなら、いよいよ次の2つの裁判手続きを行うことになります。
各制度の概要をお伝えします。
簡易裁判所に民事調停を申し立てる
不倫調停とも呼ばれることもあります。
簡易裁判所から不倫相手を呼び出してもらい、裁判所の調停委員という第三者が間に入り、慰謝料やその他条件を話し合う制度です。
調停委員は、当事者双方の言い分を聞いたうえで、問題解決のためのアドバイスをしたり、調整案を出したりします。
ただ調整案などに強制力はありませんし、最終通告書を無視するような人間ですから、調停の場にこない事態も十分ありえます。
仮に来たとしても、事実を否定、言い逃れに終始するなど、話がまとまらずに調停が不成立になる可能性が高いでしょう。
※ 不倫の民事調停に関する詳細は「不倫慰謝料請求調停の流れやメリットなど解説【不倫相手の責任追及】」で取り上げています。
裁判所に民事訴訟を提起する
民事訴訟はまさに最終手段です。
不倫の証拠を出して白黒ハッキリつける場で、勝てれば不倫相手の意思は関係なく、慰謝料を強制的に払わすことができます。
民事訴訟は、勝てる見込みがある証拠をもっているのが大前提です。
請求する金額が140万円以下なら、簡易裁判所で提起でき、140万円を超えるなら地方裁判所に提起することになります。
裁判となれば、解決までに半年ほどの時間がかかり、費用もかさみます。それも考慮して判断しましょう。
※ 不倫の民事訴訟の詳細は「不倫裁判のメリット・デメリットや流れを解説【勝訴判決を得られる証拠】」で取り上げています
まとめ
自分で不倫相手に慰謝料請求をしたが無視される理由と、無視されたあとの対処法を解説しました。
不倫相手を話し合いのテーブルに着かすためには、そこに誘導する文章が必要です。
既に慰謝料請求を不倫相手に無視されているのなら、誘導させる文章が入った催告書を送りましょう。それでも無視するのなら、【最終通告書】を送れば、何らかの回答を送ってくることが大半です。
それでは最後まで見ていただき、ありがとうございました。
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