交際していた既婚者の相手が離婚することになった。交際相手の配偶者に不倫事実が知られたからだ。
離婚の大きな原因を作ったあなたは「自分は一体どうなるだろう?」と不安になっているでしょう。
確かに不倫相手の夫婦を離婚させた責任は大きく、不倫相手の配偶者から責任追及される可能性は高いです。実際に責任追及されたときのあなたの対応によっては、取り返しのつかない事態を招きます。
ここでは不倫相手が離婚した場合に、確認すべき点や適切な対応方法について解説。本記事を読めば何をすべきかがわかる結果、早期の問題解決が望めます。
※ 2人とも既婚者であるダブル不倫についての詳細は「【ダブル不倫】相手に慰謝料請求する前に押さえるべきポイントを解説」で取り上げています。
Contents
離婚させた責任は慰謝料を払うこと
不倫相手の夫婦が離婚した場合、その責任を作ったあなたは慰謝料を支払う必要があります。
おそらく不倫相手の配偶者は、後日あなたに対して慰謝料を請求してくることが予測されます。
慰謝料とは簡単にいえば、不倫が原因で離婚せざるを得なえなくなった精神的苦痛を慰謝させるためのお金です。
不倫相手の配偶者に慰謝する責任があるのは、不倫相手はもちろん、あなた自身にもあります。
慰謝料を支払う必要があるのかを確認
離婚したからといって、不倫相手の配偶者に対し、慰謝料を必ずしも支払う必要があるわけではありません。
不倫相手の配偶者からあなたに対して慰謝料請求できるためには、次の要件がすべてそろう必要があるからです。
上の3つの要件を1つでも満たさない場合は、基本的に慰謝料を支払う必要はありません。
3つの要件を個別に解説します。
2人に性交渉があったこと
慰謝料請求が認められるには、実際にあなたと不倫相手の間に不貞行為、つまりは性交渉があったことが必要です。
デートのみキスまでなどプラトニックな関係の場合は、不倫相手の配偶者はあなたに対し慰謝料を請求できません。
ただし2人に性交渉がなくても、慰謝料を支払う責任を負う場合があります。「平穏な夫婦関係」という法律上保護されるべき利益が侵害されたと判断できる場合です。
例えば、高価なプレゼントを何度もしていた、深夜に密会を繰り返していた場合が可能性として挙げられます。
※ 不貞行為の詳細は「どこから不倫なのかを法律的な観点で解説【不貞行為の定義】」で取り上げています。
相手が既婚者だと知っていた
あなたが相手を既婚者であると知らなかった場合や、ダマされていた場合には、不倫をしている認識がありません。よって相手の配偶者は、あなたに対して慰謝料を請求できません。
しかし既婚者だと気付いて当然であった場合には、過失(落ち度)があるとして、慰謝料請求ができます。例えば、次の通りです。
- 結婚指輪をしていた
- 自宅には絶対に入れない
- 休みの日には会わない
- 電話を掛ける時間を制限する
- 既婚者のような言動を垣間見せていた
箇条書きの例は、少し注意すれば相手が既婚者だとわかります。よって過失があるため、責任を免れません。
最初は過失なく相手が既婚者だと知らなかったが、途中で知ってもなお不倫関係を続けた場合も、当然ながら責任を免れません。
不倫相手の婚姻関係が破たんしていないこと
あなたと不倫相手が不貞行為に及んだ時点での、不倫相手の夫婦の婚姻関係の状態がポイントとなります。
不倫相手の夫婦の婚姻関係が破綻していないのなら、あなたは慰謝料の支払いを避けられません。
もし不貞関係の開始時点で、既に離婚を前提とした別居をしていたなら、婚姻関係が破たん後の不貞行為です。よって不倫相手の配偶者は、慰謝料請求の権利を有しません。
ただし単に夫婦仲が悪いとか家庭内別居くらいでは、婚姻関係が破たん状態とは裁判所は認めません。
※ 不倫の慰謝料請求できる要件の詳細は「不倫相手に慰謝料請求するには?【故意過失など請求要件5つを解説】」で取り上げています。
不倫相手の配偶者が慰謝料請求する権利がなかった場合
あなたが不倫相手に慰謝料を払う必要がなかった場合の対応方法をお伝えします。
不倫相手の配偶者に慰謝料請求権がないことが確認できたなら、そのことを相手の配偶者に伝えましょう。
請求を無視して返事をしないでいると、相手の配偶者は次のような行動をとる可能性があります。
「バカにしている、喧嘩を売っている」などと感情的な反感をもたらし、誹謗中傷や脅しをしてくる。
あなたの職場に乗りこみ、職場の人間に不倫をされたと言いふらす
無用なトラブルに巻き込まれないためには、不倫相手の配偶者に対して慰謝料請求権がないことを伝えましょう。具体的には次のような内容を載せた書面を送ることです。
- 性的関係は一切なかった
- 相手が既婚者だと知らなかった
- 既婚者だと知らないことに過失はない
不倫相手の夫婦が離婚した場合の慰謝料
不倫相手の配偶者が、不倫にて被った精神的な苦痛についてのポイントは次の通りです。
不倫発覚後も夫婦が婚姻関係を続ける場合よりも、離婚に至る場合の方が大きいとされています。よって不倫が原因で夫婦が離婚した場合は、離婚しない場合と比べて慰謝料は高くなります。
不倫が原因で離婚する場合の大まかな慰謝料の相場は「200万円前後」です。
しかし慰謝料の金額は離婚するか否か以外に、婚姻期間や経済状況など様々な事情を考慮して決められます。よって不倫が原因で離婚すれば、慰謝料は必ず200万円前後になるとは一概にはいえません。
※ 不倫慰謝料の詳細は「不倫慰謝料とは|目安はどれくらい? 【離婚しない場合も含め解説】」で取り上げています。
不倫相手と共に責任を負う
不倫相手の配偶者を離婚に追い込んだ責任は、あなたのみならず不倫相手にも当然あります。よって法的には、2人で一緒に悪い行いをしたとされる【共同不法行為】として扱われます。
※ 共同不法行為者の詳細は「不倫(不貞)慰謝料の求償権を解説【負担割合は? ポイントは放棄】」で取り上げています。
不倫相手の配偶者が望んでいるもの
不倫の慰謝料を請求する方の多くは、次の2つを重要視しています。
- 不倫相手からの心からの「謝罪」が欲しい
- 自身の気持ちのなかでケジメをつける
「慰謝料を得たい」という目的は、この2つより優先順位が低い方が多いです。
不貞行為の事実があるのなら、基本的には不倫事実を素直に認めてしっかり謝罪しましょう。
何も謝罪せずに次のように回答するのはNGです。
「あなたが要求している400万円という慰謝料額は、数々の判例を考慮しても無茶な金額と考えられます。よって100万円しか払えません」
上記のような回答をすれば、不倫相手の配偶者は憤慨する可能性が高いです。それにより話がこじれてしまい、問題が複雑化する恐れがあります。
問題解決を望むなら、しっかりと謝罪をして不倫相手の配偶者に、反省や誠意を感じてもらうことが何よりも大事です。
合意に至ったなら示談書を必ず作成
不倫相手の配偶者との話し合いを重ねた結果、慰謝料額などに合意ができたのなら「示談書」の作成は必須です。
「示談書」とは、不倫問題が解決したことの証として作る書面です。
実際に慰謝料を支払うのは、必ず示談書を作成した後にしましょう。不倫相手の配偶者が、弁護士などを通して請求してきた場合でも同じです。
※ 示談書の詳細は「不倫(不貞行為)の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】」で取り上げています
無事にかつ早期の問題解決を目指すなら専門家へ
慰謝料請求された場合は、自分だけで対応せず、できるだけ早く、弁護士などの不倫問題の専門家にアドバイスを求めるべきです。
最初の対応などをミスすれば、その後に大きく影響を及ぼします。
むやみな対応は、請求者を怒らせる以外ありません。加えて、回答の仕方ひとつを間違えれば、請求者の要求すべてを認める事態に陥る恐れもあります。
問題解決には様々なプロセスを経る必要がある
問題の円満解決させるためには、状況を適切に把握し、法律、判例などを熟知している必要もあります。
また回答の書面を1通送れば、解決に至るわけではありません。示談させるまでには、書面のやりとりが何度も必要です。
何にせよ、慰謝料請求された場合、一般の方が得る付け焼刃の知識で対応するのはリスクが高すぎます。
負担を少なく、無事かつ早期に問題解決を望むなら、不倫問題を得意とする弁護士へ相談することを強くお勧めします。
まとめ
不倫相手が離婚した場合に、確認すべき点や適切な対応方法について解説しました。
まずは慰謝料を支払う責任があるのかを確認しましょう。責任を免れない場合は、不倫相手の配偶者に対してしっかりと謝罪することが問題解決の一歩です。
負担をなるべく少なく無事にかつ早期解決を望むなら、不倫問題を得意とする弁護士に相談しましょう。
不倫問題を無事かつ早期に解決
不倫相手の配偶者から慰謝料請求を受けた場合、専門の弁護士に対応を依頼すべき理由などを徹底解説。
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