「自分と同じ苦しみを与えたい!!」との思いから、不倫相手に復讐を考える方は少なくありません。
確かに不倫された側は、不倫相手に対して復讐することは可能です。しかし、不倫をされたからといって、どんな復習の仕方でも認められるわけではありません。
誤った復讐をすることで、立場が逆転し、不倫された側が責任を取るといった事態になりかねません。
ここでは不倫相手に対する復讐の仕方について解説。本記事を読めば法律が認めている復讐の仕方がわかります。
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不倫相手にやってはいけない復讐
不倫された夫や妻というのは、自身の人生や家庭をメチャクチャにされたとして、猛烈な「復讐心」を抱いているが通常です。よって不倫相手に対して、高圧的な言動や非難、罵倒を浴びせることは結構あります。
ある程度はやむを得ないでしょう。とはいえ、不倫(不貞行為)は刑法上の罪ではなく、あくまで民事上の不法行為でしかありません。
ところが、なかには感情的になり過ぎて、次のようなやり過ぎた言動を取る方もいますが、絶対に控えるべきです
これらの言動を取ってしまうと、不倫をされた被害者側だとしても、逆にこちらが責任をとることがあります。また、本来はできるはずの不倫相手への責任追及(復讐)が、軽減されたり、できなくなる恐れもあるのです。
個別に内容を解説します。
不倫相手に暴行
怒りの感情を抑えきれずに、不倫相手に次のような行為に及ぶ方がいます。
- 水やお茶などの飲み物をかける
- 髪をひっぱ叩いたり、突き倒す
- 殴る蹴るの暴行を加える
これらの行為は、形の上では「暴行事件」や「傷害事件」に当てはまります。
刑法第236条(強盗)
1 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
不倫相手が配偶者と不貞行為に及んだことは、大いに問題があるとはいえ、あくまで民事上の不法行為に過ぎません。それに比べて、不倫相手に暴行したり、その上に金銭を奪うことは、いずれもまぎれもない犯罪行為です。
どれほど許せないとしても暴行行為をすれば、逮捕される可能性すらあります。よって、当然ながら不倫相手に暴行を加えては絶対にいけません。
不倫相手に脅迫や恐喝
不倫相手の自宅や勤め先に自ら出向いてはいけません。怒りの感情が強い方は電話を掛けて連絡をとるのも避けた方がいいでしょう。
例えば「これからあんたの勤め先に乗り込んで、会社の連中に不倫の事実をばらしてやるよ」などと不倫相手を脅す方がいます。このような発言は「脅迫」に当てはまる恐れがあります。
刑法第222条(脅迫)
1 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
また「慰謝料を払わないと大変な事態になるよ」等といった発言は「恐喝」に当てはまります。
仮に脅迫や恐喝をする気が一切なくても、こちらが責任追及される可能性もあります。不倫相手に直接接触したことが原因で、不倫相手の家族や勤め先など当事者以外に不倫事実が知られてしまう恐れがあるからです。
不倫相手に退職要求
職場不倫のケースでも、不倫相手に対して退職の強制はできません。
勤め先に不倫の事実をバラし、不倫相手に退職を強制すれば、不倫相手から多額の損害賠償請求をされる可能性があります。
なお、不倫相手が自分の意志で退職するならば支障ないため、退職の意志の確認をするのも一案です。
法律で認められた不倫相手の復讐方法
次に、法律で認められた不倫相手に対する復讐の方法を取り上げます。ここでは話をわかり易くするために、不倫をしたのが夫という設定でお伝えします。
夫と不倫相手で及んだ不貞行為は、妻の貞操を侵害するものです。
侵害をされたことにより被る精神的・肉体的苦痛は【金銭】にて償ってもらいます。
よって不倫をされた側の配偶者である妻は、不倫相手に対して慰謝料という名目の金銭を請求できます。加えて、夫との関係解消や復縁の禁止の約束、妻に謝罪させることも可能です。
これらが不倫相手に対して、法で認められた「復讐」であり、責任の取らせ方となります。
慰謝料はどれくらい請求できる?
不貞行為の慰謝料額においては、はっきりとした基準がありません。とはいえ、何らかの基準がなければ決めようがありません。
そこで弁護士などの法律家が目安として挙げている金額を参考にして、ざっくりまとめました。
不倫相手への慰謝料の相場
1回限りの不貞行為:~50万円
離婚に至らない場合:~100万円
離婚に至る場合:100万円~300万円
あくまで参考程度で見てもらえればと思います
※ 不貞慰謝料の相場の詳細は「不倫慰謝料とは|目安はどれくらい? 【離婚しない場合も含め解説】」で取り上げています。
不倫相手に慰謝料を請求できる要件とは
不倫相手に対する慰謝料請求は、どんな場合でも可能なわけではなく、次の要件が必要となってきます。
個別に内容を解説します。
不倫相手が夫を既婚者だとわかっていた
不倫相手は、夫を既婚者だとわかっていながら不貞関係を結んだことが、不倫相手に慰謝料を請求できる条件です。
もし、不倫をした夫が「自分は独身者だ」と偽って、不倫相手と不貞関係になった場合は、慰謝料請求はできません。しかし、不倫相手が夫を既婚者だと知らないことに「過失」がある場合は、慰謝料請求はできます。
「過失」があるとは、少し注意すれば既婚者だと確認できる状態をいいます。例えば、相手が同じ勤め先であるとか、婚約指輪を嵌めていた場合などです。
不貞行為があった
夫と不倫相手との間に不貞行為、つまり性交渉があることが必要です。単に、手をつなぐ、キスをするなどプラトニックな関係であれば、妻は夫、不倫配偶者ともに慰謝料を請求できません。
※ 不貞行為の詳細は「どこから不倫なのかを法律的な観点で解説【不貞行為の定義】」で取り上げています。
夫婦関係が破綻していなかったこと
慰謝料請求が可能である根拠は、不倫された側の精神的平和を荒らされたからです。不倫が原因で夫婦関係に亀裂が入ったり、ときには夫婦関係が破たんを招くからこそ、精神的平和が保てなくなります。
よって、もし二人が不貞関係になったとき、既に夫婦関係が破たんしていた状態なら、妻は夫の不倫を知っても苦痛はありません。
判例上、法的に保護すべき利益がないいとされ、妻は夫不倫相手ともに慰謝料を請求できません。
不貞行為の証拠があること
不貞行為の証拠がなくても、不倫相手には慰謝料の請求可能です。
ただし、不倫相手が事実を認めずに裁判となった場合、証拠がなければ慰謝料は認めてもらえません。
※ 不貞行為の証拠の詳細は「【不貞行為の証拠集め】証拠になるものを解説|不倫の自白は立証可能?」で取り上げています。
なお、不倫相手に対する慰謝料請求は内容証明郵便で行うのが一般的です。詳しくは「不倫問題で内容証明郵便を使うメリットを解説【請求書の例文あり】」で取り上げています。
離婚するか否かで重要視する内容は変わる
不倫された側の配偶者は、不倫配偶者と婚姻関係を続ける否かで重要視する内容は変わります。
離婚しない場合
配偶者の不倫を許し、婚姻関係を続ける場合は、不倫相手から慰謝料は基本的に少額となります。離婚しない場合は、精神的苦痛が少ないと判断されるからです。
よって、不倫相手を復讐したい、痛い目に遭わせたいからといって、慰謝料の金額にこだわるのは止めるべき。不倫再発防止のため、二人の関係解消の確約をさせる方が大事です。
※ 不倫再発防止の詳細は「【不倫をやめさせる方法】誓約書を作成する際のポイントなどを解説」で取り上げています。
なお、離婚しないで不倫相手に慰謝料を請求する際は求償権の存在を考慮する必要があります。詳しくは「不倫(不貞)慰謝料の求償権を解説【負担割合は? ポイントは放棄】」で取り上げています。
離婚する場合
不倫をした配偶者を許せないため、離婚することになった。
離婚になった以上、不倫相手から謝罪してもらっても、基本的には何の意味もありません。加えて、関係解消や復縁禁止の確約も同様に意味のないものです。
不倫相手の謝罪を受けたところで、もう二度と夫婦関係が修復することはありません。次のように逆にますますイラつかせるだけでしょう。
「どうせ形式だけの謝罪でしょ? 心から申し訳ないなんて思ってもいないくせに!!」
よって離婚をするのなら、不倫相手からの「謝罪」にはこだわらず、不倫相手に慰謝料を払わすことにウェイトを置くことです。
まとめ
法的にも認められている不倫相手に対する復讐の仕方について解説しました。憎き不倫相手ですが、基本的に「慰謝料」を請求して、復讐するほかありません。
不倫相手を、ビンタなどしたくなる衝動に駆られるかもですが、実際にすると逆にこちらが不利になる恐れがあります。怒りの気持ちはぐっと抑えて、慰謝料を払わすことで責任をとらせましょう。
それでは最後まで見ていただき、ありがとうございました。