夫や妻の不倫を知るきっかけとして多いのは、不倫がうかがえるLINEやメールを見たときではないでしょうか。
不倫がうかがえるLINEやメールをうまく利用すれば、裁判所でも不倫があったと認められる証拠となります。
ここでは不倫をうかがえるLINEなどを見つけたときの対処法などを解説。本記事を読めば、これらの証拠の適切な扱い方や、問題解決の仕方がわかります。
Contents
LINEやメールは決定的な不倫の証拠にはならない
最初にLINEやメールは、裁判でも通用する不倫の証拠になるのか否かをお伝えします。
実際の裁判の場では、二人の不倫関係がうかがえるLINEやメールのやりとりが証拠として提出されることは多いです。
しかし、継続的に証明できるならまだしも、断片的なやりとりのものだけでは、不倫の証拠としては弱いといえます。
例えば、LINEに「先月にいったホテルでまたエッチしたいな^^でも奥さんにバレたら修羅場だね」といった内容が書かれていた。
二人の間に性交渉があったのが明らかにわかる内容ですが、配偶者は次のような言いわけをしてきました。
【悪ふざけで単に言葉遊びをしていただけ、実際は会ってもいないよ】
見苦しすぎる言いわけです。しかし裁判所は、このような主張の可能性もゼロとは断定できないため、このLINEだけでは不倫があったとは基本的に認めません。
LINEやメールで不倫事実を認めてもらうには
不倫がうかがえるLINEやメールは意味がないわけではありません。これらの証拠に加えて、他の証拠を組み合わせることで、不倫があったと認めてもらえる可能性は上がります。
証拠を組み合わせる例
例えば、2人に性交渉の事実がうかがえる内容のLINEに加えて、ラブホテルの領収書が見つかったとします。
ラブホテルの領収書の日付がLINEの内容と合致するのであれば、不倫事実があったと認めてもらえる可能性が高まるでしょう。
それ単体では証拠として弱くても、それを補強する証拠があれば、裁判でも通用するわけです。
些細な証拠でもすべて残す
些細な証拠であっても、不倫との関連性がわずかでもあると感じるなら取っておきましょう。
例えば、次のようなものです。
- 二人で利用したと思われる飲食店のレシート
- 本人が不倫したことを認めた書面
- ホテル利用時のクレジットカードの明細
- 不倫相手との通話記録
- 不倫相手からの手紙やプレゼント
- 車のETC利用明細…など
このような証拠でも個々の関連性がつながれば、不倫を立証できる可能性は十分あります。
※ 不倫の証拠に関する全体像の解説記事は「【不貞行為の証拠集め】証拠になるものを解説|不倫の自白は立証可能?」で取り上げています。
長期間の不倫関係がうかがえるLINE・メール
不倫関係がうかがえるメッセージのやりとりが、長期にわたり続いているのを証明できるなら、そのやりとりは証拠として有効です。
長期的なやりとりが追えるなら、二人がハグやキスなどをしている写真などが添付されている可能性もあります。
性交渉した感想などのやりとりなどがあれば、それ単体でも不倫があったことを示す重要な証拠となりえます。もちろんこの場合においても、他の証拠もある方が望ましいです。
以上のように、LINEやメールの証拠だけでも不倫があったと認めてもらえる可能性もあるため、諦めずに色々と探ってみましょう。
その他入手しやすい不倫の証拠
不倫がうかがえるメールやLINEを利用して、配偶者から新たな証拠を得られる方法があります。
配偶者に不倫がうかがえるLINEなどを突きつけ、不倫の事実を書面で認めさすことです。
不倫相手に、不倫がうかがえるLINEやメールを配偶者に突きつけても、言い逃れしてくる可能性は高いでしょう
一方、不倫をした配偶者は不倫事実を素直に認め、書面を書く可能性は高いのです。離婚を覚悟で本気の不倫している配偶者は少ないからです。
離婚されてしまう恐怖から白状しやすい
離婚を覚悟していない配偶者は、他方の配偶者から次のように言われると、多くはすぐにおちて書面で不倫事実を認めます。
【正直に話せば、許すつもりだけど…】
言われた側の配偶者は、嘘をついているのがバレたときは本当に離婚されてしまう…という恐怖感から白状するのです。
不倫相手に対する慰謝料請求で通用する証拠
配偶者が不倫を認めた書面があれば、不倫相手は認めざるを得ない状態に追い込まれます。一方が書面で不倫事実を完全に認めている以上、それを覆すのは困難と考えるからです。
なお、この書面とLINEを合わせた証拠だけでは、裁判で不倫があったと認めてもらえる可能性は高いとはいえません。
しかし、示談では不倫相手に十分通用する証拠ですので、配偶者からの不倫事実を認めさす書面を書かせましょう。
※ 配偶者に不倫事実を認めさす書面についての詳細は「夫や妻に不倫を白状させる方法と【不倫念書】を書かすべき理由を解説」で取り上げています。
LINEやメールを不倫の証拠として残す際の注意点
LINEやメールはデジタルデーターであるため、やろうと思えば簡単に改ざんができます。
LINEやメールを不倫の証拠として利用したい側とすれば、そのような疑惑を持たれるのは避けたいところです。データの取り扱い方には、十分に気をつけましょう。
二人のやりとりは写真で撮影するのがポイントです。
自分の携帯に転送する方法もありますが、改ざんしていると言いがかりをつけられる可能性があるため、写真撮影の方が望ましいです。
加えて、その携帯が不倫をしている配偶者のものだとわかるようにしましょう。具体的には、電話番号が表示されているLINEのプロフィール画面を撮っておくことです。
証拠がメールの場合のポイント
メールを証拠として残す場合のポイントをお伝えします。
2人のやりとりを撮影する場合は、画面スクロールをして、メール記事のすべてを撮る必要があります。
配偶者の携帯のものだと明らかにするため、ヘッダー部分も必ず撮影しましょう。ヘッダー部分とは、送受信日時や、送信者及び受信者の名前が載っている箇所です。送信者及び受信者のメールアドレスも撮っておきましょう。
つまり、「誰の携帯に、いつ、どんな内容のメールを、受信・送信したか?」がわかるのが重要です。
違法収集証拠の証拠能力
不倫の証拠を収集する際は、プライバシー侵害に強くあたるような方法は避けるべきでしょう。証拠の収集方法が違法と判断された場合は、証拠能力が否定される可能性があるからです。
刑事事件においては、証拠の収集方法が適正か否かについて厳格な規定があります。それに反する収集方法で得た証拠は否定されることが多いです。
一方、民事事件においては、証拠の収集方法の制限について明確な規定はないため緩いです。とはいえ、反社会的な度合いが強い手段を用いて採集した証拠は否定されています。
なお配偶者の携帯のパスワードを解除させ、LINEやメールを閲覧したり、転送する行為は「不正アクセス禁止法」違反です。配偶者の不倫の証拠を取るためだとしても、刑事罰を科せられる可能性はゼロとは言い切れません。
とはいえ、そのような手段で入手した証拠でも、実際の裁判の場で採用されることが多いです。
不倫発覚でも離婚しない場合はすぐに追及
LINEやメールがきっかけで配偶者の不倫が発覚したが、色々と考えたうえ、離婚は回避したいと考える方もいるでしょう。ここでは離婚を回避する場合のポイントをお伝えします。
まずは、配偶者に不倫事実の追及をすぐにすることです。
人によっては「不倫相手と確実に別れさすために、絶対的な証拠を掴み、言い逃れができないようにしよう」 こうに考えて、わざと配偶者を泳がせて、不倫相手との関係を続けさせ、絶対的な証拠を押さえようとする方がいます。
わざと配偶者を泳がすのがNGである理由
配偶者を泳がす方法は、私個人の考えではオススメはできません。不倫関係が長く続くほど二人の関係性は深まるため、別れさせるのが難しくなる可能性があるからです。
加えて、自分の考えで配偶者を泳がせたとしても、実際に自分以外の異性と性交渉した事実を知ると大きなショックを受けます。
それ原因で離婚を決断したり、離婚は回避してもショックのあまりセックスレスになってしまう。人によっては、逆に自分が不倫に走ることもあるのです。
以上のことから、離婚を回避し夫婦関係を修復させるなら、すぐに不倫の追及をすべきです。
誓約書を差し出してもらう
配偶者が不倫事実を認めたのなら「誓約書」を差し出してもらいましょう。
誓約書とは、簡単にいえば次のような内容を載せた書面です。
- 不倫事実を認める
- もう二度と不倫をしないこと
- 不倫相手との接触を絶つこと
- 約束を反故した場合の違約金
誓約書は証拠として残るため、不倫再発の抑止力となります。
誓約書は不倫相手にも、次のように伝えて差し出してもらうべきです。
【慰謝料を請求しない代わりに誓約書を差し出してほしい】
不倫相手は応じる可能性が高いでしょう。慰謝料を払わずに済むのなら誓約書くらい差し出そうと思うからです。
仮に配偶者が不倫事実を認めないとしても「不倫を疑われる行動は今後とらない」という内容の誓約書を差し出してもらいましょう。
※ 誓約書や不倫再発防止などの詳細は「【不倫をやめさせる方法】誓約書を作成する際のポイントなどを解説」で取り上げています。
配偶者が許せず離婚する場合のポイント
LINEやメールで配偶者の不倫を知り、裏切りが許せずに離婚する場合のポイントをお伝えします。離婚すると決めた以上、少しでも有利な条件で離婚するためにも、不倫の証拠を固めましょう。
配偶者の不倫事実を証明ができるのなら、相手を有責配偶者になるため、離婚請求を通しやすくなります。加えて、配偶者の不倫という有責な行為によって、離婚に至るため、慰謝料を請求できます。
不倫の証拠を固めるには、先ほどの「LINEやメールで不倫事実を認めてもらうには」の欄でお伝えした証拠を数多く揃えることです。
不倫の証拠がLINEやメールしかない
不倫の証拠がLINEやメールしかない、または他にも証拠はあるがどう組み合わせても不倫事実を裏付けることは困難である。この場合は、探偵に不倫調査を依頼して証拠を得るのも1つの手段です。
探偵業者を選ぶ際に必ず確認すべきことは次の通りです。
- 探偵業届出証明書の掲示
- 行政処分を受けていないこと
- 誇大表現してないこと(100%成功など)
- 調査料金が明示されていること
これらが守れていない探偵業者は、悪徳である可能性が非常に高いです。
悪徳業者に依頼すれば、高い調査料金を取られた上に、証拠は何も得られなかった、という最悪な事態を招きます。
※ 探偵の選び方の詳細は「【探偵業者の正しい調べ方】不倫調査の依頼先を決める8大ポイント」で取り上げています。
※ 不倫調査における探偵料金の詳細は「探偵の不倫調査はいくらの費用がかかる?【料金を抑えるポイント】」で取り上げています。
「探偵=ラブホテルの写真」は絶対ではない
探偵業者に依頼する限り、二人がラブホテルに出入りする瞬間の写真を入手できないと意味がないと思っていませんか? 実はそんなことはありません。
たとえラブホテルに出入りする証拠が入手できなくても、次の証拠も立派なものです。
- 仲良く手を繋いでいる姿の写真が撮れた。
- 不倫相手の家に出入りする写真が撮れた
- 抱き合ってキスをしている写真が撮れた
これらの証拠は、不倫がうかがえるLINEやメールの証拠と組み合すことで、裁判でも通用する証拠になる可能性も十分あります。加えて、ラブホテルに出入りする場面を撮るよりも、ハードルが低いため入手しやすいでしょう。
離婚協議書を作成する
不倫を裏付けできる証拠が固まれば、次はそれを元に配偶者に対して、離婚や慰謝料などを請求します。配偶者が離婚に同意し、慰謝料などの支払いに応じるのなら、そのことを必ず離婚協議書に残しましょう。
離婚協議書とは
離婚協議書とは、離婚に際しての慰謝料や養育費などの取り決めを記録して、契約書のひとつとして書面に残すことで、離婚後のトラブル防止を目的に作成するものです。
離婚協議書などの書面を残さずに、口約束だけにするのは絶対に避けるべきです。
口約束は証拠に残らないため、後に慰謝料や養育費などの支払いを拒否してくる可能性が非常に高いです。そうなると調停や裁判などの手続を踏む必要があり、多大な時間や精神的負担を負うことになります。
まとめ
不倫をうかがえるLINEなどを見つけたときの対処法などを解説しました。
お伝えした通り、不倫がうかがえるLINEやメールだけでは決定的な証拠にはなりません。しかし、その他の証拠と組み合すことで、裁判所に不倫を認めてもらえる可能性が高まります。
些細な証拠でもすべて集めて保存しておくのがポイントです。
配偶者の不倫が発覚したあと、離婚するか否かで対応法が大きく変わります。このこともお伝えした内容を参考にしてください。
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