- 内容証明郵便で不倫の慰謝料請求するのは有効?
- 内容証明郵便にはどのような効果があるの?
- 内容証明郵便は自分で作成できる?
第三者に慰謝料を請求するときは、【内容証明郵便】がよく使われます。夫や妻の不倫相手に慰謝料請求を考えているなら、内容証明郵便の特徴や効果を押さえおくことが必要です。
ここでは不倫の慰謝料請求をする場合における内容証明郵便について解説。本記事を読めば内容証明郵便を使うメリットや効果が分かります。
Contents
内容証明郵便は郵便局が内容を証明してくれる手紙
不倫をされた配偶者は、不倫をした配偶者や、その不倫相手に慰謝料を請求することが可能です。
「内容証明郵便」は、主に不倫相手に対する慰謝料請求の際によく利用されます。また不倫相手に配偶者との交際中止を求める際に、利用する場合もあります。
内容証明郵便とは、手紙の一種であり、次のことを郵便局が証明してくれる一般書留郵便物です。
- いつ
- どこの誰が
- 誰に対して
- どんな内容を
通常、紛争の事前防止、一定の法律効果を発生させる目的で利用されます。
慰謝料請求で内容証明郵便を利用する5つの目的
内容証明郵便を使用して、不倫相手などに慰謝料を請求する目的やメリットは次の通りです。
個別に内容をお伝えします。
慰謝料請求した事実の証拠を確実に残せる
内容証明郵便を利用すれば、不倫相手からの次のような反論などを防げます。
「そんな手紙は来てない」
「手紙にはそのような内容は書かれていない」
お伝えした通り、内容証明郵便は「いつ、誰が、誰に対して、どんな内容を」を証明できるからです。仮に裁判に発展した場合でも、その証拠力は高く非常に有効です。
不倫相手に対して、心理的圧迫を与えられる
内容証明郵便には差出人や郵便局の印鑑がたくさん押されています。例えば、手紙の文末には次のような判が押されています。
「この郵便物は令和4年4月1日 第000-00-00000-0 号 書留内容証明郵便物として差し出した事を証明します。 郵便事業株式会社」
通常一般の方は、このような特殊な郵便物を受け取ることはありませんので、緊張感や心理的圧迫感を感じるのです。
内容証明郵便を受け取った不倫相手の多くは、頭が真っ白になる、焦る、プレッシャーを受けるなどの精神的ダメージを受けます。結果、不倫の事実を認めさせたり、慰謝料の支払いに応じさせることが期待できます。
慰謝料請求の本気度を不倫相手に見せられる
不倫相手に再三にわたり、電話や通常の手紙などで不倫の慰謝料や謝罪を求めてきたが、事実を全否定し応じようとしない。事態がまったく進展しない状況でも、内容証明郵便を送ることは効果的。
内容証明郵便を受けとることで、不倫相手に次のような心境の変化が起こります。
「今回は内容証明を送ってきたのだから、相手も生半可な気持ちではなく本気になってきたな…」
「応じなければ裁判をする気だろうから、そうなれば裁判所に出廷したり、弁護士に弁護を依頼する必要があるな…」
「裁判になれば、多くの時間が取られて仕事に支障がでるし、多大な裁判費用もかかるから面倒な事態になる…応じるしかないか」
内容証明郵便は、請求者の本気度や覚悟を見せつけられます。これにより不倫相手は事実を認め、慰謝料の支払いの話し合いに応じることが期待できるでしょう。
裁判外(示談)での問題解決が望める
裁判で不倫問題を解決しようと思えば、多くの時間と費用がかかるので、できる限り避けたいと考えるのが一般的です。よって裁判を起こす前に、内容証明郵便を送り、示談で問題解決を目指すのが一般的な流れとなります。
時効を一時的に中断ができる
慰謝料請求には時効があります。不倫相手に対する慰謝料請求は、損害及び加害者を知ったときから3年を経過すると請求が不可となります。
仮に不倫相手に対する慰謝料請求の時効が、来月に成立するケースがあるとします。この場合、いったん内容証明郵便で慰謝料を請求すれば、その時効の完成を猶予できる効果が発生します。
なお、時効を完全に延長させるには、6か月以内に訴訟などを提起する必要があります
※ 不倫慰謝料の時効の詳細は「不倫の慰謝料の時効は3年または20年【時効を止める方法も解説】」で取り上げています。
不倫相手に対する慰謝料請求書の文面とは
内容証明郵便などを利用した場合における、不倫相手に対する慰謝料請求書の例文をお伝えします。あくまで例文ですので参考程度に見てください。
なお下記文面の利用により生じた損害・トラブルに関して、当サイト管理者は一切責任を負いません。
慰謝料請求書の例文
通知書
私は○○○○の妻・○○と申します。
私は、平成○○年○月に夫と婚姻し、円満な夫婦関係を築いてきました。
ところが、昨年夏頃から夫の言動に不自然な点が多くなるなど、様子がおかしいと感じておりました。
そこで、○月○○日、夫に問いただしたところ、貴女と交際し不貞行為を繰り返していることを告白しました。
夫の書面による自白以外にも、LINEその他の数多くの証拠を入手しています。
同日私は、貴女に電話でも確認し、貴女も夫が私と婚姻しているのを知っていながら、令和○○年○○月頃から不貞行為を繰り返していることを白状しております。
当然ながら、貴女の行為は不法行為(民法第709条)にあたります。
これにより、約○○年間続いた婚姻生活は、もはや修復不可能で、離婚せざる得ない状況となり、多大な精神的苦痛を負いました。
つきましては、貴女に対し、本書面を持って、以下の通り請求いたします。
<請求内容>
不貞行為の慰謝料として金300万円を指定金融機関の口座に振り込み入金にて支払うこと。
振り込み手数料は貴女負担とする。
<振り込み指定口座>
銀行名:○○銀行
支店名:○○支店
預金種別:普通預金
口座番号:0000000
口座名義:○○ ○○
請求内容の履行期限を本書到着時より2週間とします。
もしも本書到着後2週間以内に、上記事項についての履行がなされない場合、当然ながら、訴訟の提起をする所存ですので、ご承知おき下さい。
以上、宜しくお願い申し上げます。
令和○年○月○日
通知人 ○県○市○町○○
□□□□ 印
被通知人 ○県○市○町○○
△△△△ 様
個人で不倫の慰謝料請求するのは難しい
不倫の慰謝料請求の内容証明郵便は、弁護士などの法律家ではない、一般人でも作成は可能です。
本屋で内容証明に関する本を購入すれば、具体的な作成方法は分かりますし、書式のフォーマットも載っています。それらを参考にすれば、自分で書面作成から発送まで可能です。
しかし書店で売っている内容証明の本は、あくまで一般的な内容しか載っておらず、請求者の実情に合うかどうかは分かりません。
不倫相手は責任をなかなか認めない
内容証明郵便で慰謝料請求した結果、不倫相手が素直に事実を認め、謝罪し慰謝料の支払いに応じる展開となるのは極稀です。
大方の不倫相手の多くの反応は、慰謝料を払うどころか、私は悪くない的な主張し責任を認めません。
観念させるには、不倫相手の主張では責任を逃れられない状況だと、論理的に辛抱強く説き伏せ続けることが必要。しかし、そのような内容まで載っている本などはありません。
専門家に依頼するのがもっとも安心
仮に一通の内容証明郵便だけで、不倫相手が請求に応じたとしても、支払いを確保するための示談書を作成する必要があります。
示談書は、不倫問題について当事者がやりとりをした結果、問題解決に至ったときに作成する書面です。主に次のような内容を盛りこみます。
- 不貞行為の事実
- 慰謝料の金額
- 慰謝料の支払い期限
- 慰謝料の支払い方法
- 守秘義務…など
示談書も本を参考にすれば、自分で作成することは可能ですが、同じく一般的な内容しか載っていません。
以上のことから、一般の方が自身で不倫の慰謝料請求をすると、失敗する可能性は非常に高いため、オススメできません。不倫の慰謝料請求に精通した、弁護士などの専門家に依頼し請求するのがもっとも安心です。
不倫の慰謝料請求に対する相手の対応
内容証明郵便などで慰謝料請求をした場合、不倫相手の対応は次の5つに分類できます。
不倫相手の各対応をしてきた場合、請求者はどうすればいいかをお伝えします。
すべて認める(全額支払いに応じる)
ごく稀なパターンでしょう。相手がすべてを認めてきた場合は「示談書」の作成に進みます。
不倫相手が慰謝料を一括で支払うと言ってきても、必ず示談書を作成しましょう。口約束で済ませたあと、不倫相手が慰謝料支払いを拒否してきた事例がたくさんあるからです。
支払いを確保するためには示談書の作成は必須です。
※ 示談書の詳細は「不倫(不貞行為)の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】」で取り上げています。
減額や分割払いの申し出
相手が不倫の事実を認め慰謝料の支払いにも応じるも、慰謝料額の減額や分割払いの要求は多くあります。
慰謝料の減額などを要求された場合、不倫相手の資力や、経済状況などを検討し、減額や慰謝料の分割に応じるかを検討します。結果、減額などに応じるのであれば、示談書の取り交わしをする流れになります。
言い訳・弁解をしてくる
不倫相手が言い訳や弁解をしてくることも頻繁にあります。特に言い訳として多いのが次のような内容です。
「あなたの夫が、私が断っているのにも関わらず、積極的に誘ってきた。だから私には責任はありません」
この場合の対処法の1つとしては、判例などを持ちだしそれは言い訳にならないことを伝え、相手を説得する流れとなります。
※ 不倫相手がしてくる言い訳や対処法の詳細は「【不倫相手が慰謝料を払わない】主な3つの理由と適切な対処法を解説」で取り上げています。
事実を否認してくる
不倫事実を否認し明らかに争う姿勢でいる場合には、これ以上やりとりをしても問題解決に至るのは困難です。この場合は、民事調停の申し立てや、民事訴訟を提起し、問題の解決を目指す流れになります。
なお一般の方が、民事訴訟を自分の力だけで遂行するのは難しいですが、民事調停は可能です。
※ 民事調停の詳細は「不倫慰謝料請求調停の流れやメリットなど解説【不倫相手の責任追及】」で取り上げています。
※ 民事訴訟の詳細は「不倫裁判のメリット・デメリットや流れを解説【勝訴判決を得られる証拠】」で取り上げています。
回答がこない
不倫相手から回答がこない場合は、回答を求める催告の書面を送ります。
回答を送ってこない理由で多いのが、不倫相手が「どうすればいいか分からない」です。思考停止をしてしまい「もしかすると、これ以上は何も言ってこないかも?」と現実逃避する人も多くいます。
請求を放置している不倫相手に、催告の書面を送ることで「やっぱり逃れられない」と観念し、何らかの回答がくる場合も多いです。
催告の書面を送っても回答がこない場合は、拒否とみなして調停や訴訟に進む流れとなります。
※ 回答が来ない場合の対処法の詳細は「【不倫相手に慰謝料請求を無視された…】その原因と対象法を解説 」で取り上げています。
まとめ
内容証明郵便を利用した、不倫相手に対する慰謝料請求を取り上げました。
最後に、内容証明郵便で不倫相手に慰謝料請求するメリットや効果を箇条書きでまとめます。
- 慰謝料請求した事実の証拠を確実に残せる。
- 不倫相手に対して、心理的圧迫を与えられる。
- 慰謝料請求の真剣度を不倫相手に見せられる
- 裁判外(示談)での問題解決が望める
- 時効を一時的に中断ができる
内容証明郵便を使った慰謝料請求は一般の方でも可能です。しかし、本記事でお伝えした通り、途中で立ち行かなくなる可能性が高いでしょう。よって不倫の慰謝料請求に精通した専門家に依頼するのをオススメします。
慰謝料請求を成功させる鉄則
夫や妻の不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるための鉄則を取り上げています。
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不倫相手に対する慰謝料請求の方法を解説。内容証明郵便の送付以外の方法も取り上げています。