- 不倫相手に慰謝料請求する方法を知りたい
- 慰謝料請求の全体の流れを知りたい
- 不倫慰謝料請求のポイントを知りたい
夫や妻の不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるには、それらの全体像や流れを事前に押さえることが必要。
感情や勢いのままで動けば高確率で失敗しますし、不倫相手から不誠実な対応をされ、余計に傷つけられるからです。
ここでは不倫相手に対する慰謝料請求の流れや全体像を解説。本記事を読めば、自身が各段階でやるべき行動や慰謝料請求のポイントがわかります。
Contents
不倫慰謝料を請求できる権利があるのかを確認
最初に確認すべきなのが、そもそも不倫相手に慰謝料を請求できる権利があるのか?ということです。法的に権利を持っていないと、ただの不当な要求になります。
不倫相手に慰謝料を請求できる権利を持つには、主に次の3つの条件をすべてクリアすることが必要です。
- 2人の間に性交渉がある
- 配偶者を既婚者だと知っていたor知らないことに過失があった
- 不倫が始まる前に婚姻関係が破たんしていないこと
個別に内容を解説します。
抱き合ってキスしていても慰謝料は請求できない
2人が抱き合ってキスをしていても、原則、それだけでは不倫相手に慰謝料請求はできません。
納得できない気持ちはよくわかりますが、裁判所は基本的に慰謝料請求を認めないでしょう。
過失とは落ち度という意味
不倫相手がこちらの配偶者を既婚者だと知っていた場合は、慰謝料の請求ができます。
既婚者だと知らないことに過失があるとは、簡単にいえば「落ち度」という意味です。
極端な例を挙げれば、相手の指に結婚指輪がはめられているのを知っていた場合は、過失があるといえます。
婚姻関係の破たんは簡単には認められない
婚姻関係が破たんとは、夫婦の仲が冷え切っている状態をいいます。配偶者の不倫が始まったとき、既に婚姻関係が破たんしていた状態なら慰謝料請求はできません。
裁判所は、婚姻関係がたんしているとは簡単には認めません。
※ 不倫慰謝料を請求できる権利があるのかの詳細は、「不倫相手に慰謝料請求するには?【故意過失など請求要件5つを解説】」で取り上げています。
不倫相手が慰謝料の支払いを拒否する理由で多いのが、「既婚者だと知らなかった」「夫婦仲が破たん状態と聞いていた」です。事前に対策しておきましょう。
対処法の詳細は「【不倫相手が慰謝料を払わない】主な3つの理由と適切な対処法を解説」で取り上げています。
不倫の証拠を収集する
不倫相手に慰謝料を請求するにおいて、不倫の証拠は厳密に言えば要りませんが、ないと厳しいというのが現状。もし、不倫相手が責任を絶対に認めない場合は、裁判になりますが、証拠がなければ勝てる可能性はゼロだからです。
それでは不倫の証拠の見つけ方などをお伝えします。
夫や妻の不倫を疑っている段階であれば、証拠がもっとも見つかり易い相手のスマホを必ずチェックしましょう。まずは写真や動画のファイルを片っ端から調べてみてください。
不倫相手と一緒に写った写真や、場合によっては性交渉しているときの動画が見つかる場合も。性交渉しているところや、2人が裸で写っている写真や動画を証拠として入手できれば、一発で不貞行為があったと認められます。
次にLINEや携帯メールから、不倫関係がうかがえるやりとりがないかをチェックしましょう。
※ 不倫関係が伺えるLINEやメールについての詳細は「不倫(不貞行為)のLINEやメールを発見!裁判でも通用する証拠?を解説」で取り上げています。
不倫の念書を書かせる
夫や妻のスマホなどを調べた結果、不倫の事実を確信、または限りなく黒に近いと思ったなら、配偶者を問い詰めることです。結果、不倫を自白することがよくあります。
自白すれば、不倫事実を認める内容などを載せた【不倫の念書】を書かせましょう。不倫の念書は十分に戦える証拠となります。
謝罪文は入手しやすい証拠なので、配偶者が不倫を認めたなら必ず書かせるべきです。
※ 不倫を認める念書の詳細は「夫や妻に不倫を白状させる方法と【不倫念書】を書かすべき理由を解説」で取り上げています。
※ 不倫の証拠の全体像の解説は「不倫慰謝料とは|目安はどれくらい? 【離婚しない場合も含め解説】」で取り上げています。
不倫相手の名前と住所を調べる
慰謝料を請求するためには、少なくても不倫相手の名前と住所(職場住所でも可)は知っておくことが必要です。慰謝料を請求する際は一般的に書面を通じて行うため、名前などの基本的な情報がわからなければ送付できません。
不倫相手の名前や住所は、不倫の証拠を収集する過程であったり、不倫した配偶者を問い詰めたときにわかることが多いです。可能なら次の情報も調べておきましょう。
- 勤務先
- 職位
- 独身or既婚
勤務先や職位を知っておく理由は、不倫相手が慰謝料をどれほど払えるかを把握するためです。
もし不倫相手が「私にはお金ないから、そんな金額払えません」と主張してきたときは、次のように反論できます。
「あなたには〇〇会社に勤めていて安定した収入があるから、分割にすれば十分に払えます。」
不倫相手の勤務先や職位を知っておくことで、慰謝料の減額になる可能性がある要素を減らせられます。
不倫相手が独身か既婚であるかを知ることも重要です。不倫相手が既婚者ならダブル不倫状態になるので対応法が変わるからです。
※ ダブル不倫の詳細は「【ダブル不倫】相手に慰謝料請求する前に押さえるべきポイントを解説」で取り上げています。
どうしてもわからない場合は弁護士や探偵に調べてもらう
不倫した配偶者が、不倫相手の名前や住所を絶対に口を割らないという場合もあります。配偶者が不倫相手を庇っている、または申し訳ないと考えているときに起こります。
どうしても不倫相手の情報を教えないときは、費用は掛かりますが、弁護士照会や探偵の身元調査を利用するのも1つの手。相手の携帯番号やキャリアメールから特定することも可能です。
※ 弁護士の紹介については「不倫相手の名前や住所を教えない場合の対処法【携帯番号でわかる?】」で解説しています。
※ 失敗しない探偵選びの詳細は「【探偵業者の正しい調べ方】不倫調査の依頼先を決める8大ポイント」で取り上げています。
請求する金額を決める
不倫相手に請求する慰謝料額を決めます。
払えるかどうかは別で、不倫相手を懲らしめたい気持ちから、1,000万円などの多額の金額を設定したいという方もいます。しかし憎しみの感情任せの金額を請求すると、失敗する可能性が高まります。
不倫相手も慰謝料の相場を調べるからです。1,000万円の請求額は乱暴な金額だと知り、まともに取り合わず無視を決めこむ可能性があります。
示談での問題解決ができなければ、後は裁判をするほかありません。解決の場が裁判になると、時間が掛かるし多額の費用も必要な上、精神的負担も大きいため必ず避けるべきです。
基本は慰謝料の相場をベースにして、不倫相手の資力も考慮し、相手からの値下げの要求なども踏まえて決めることになります。
※ 適切な不謝料請求額の決め方の詳細は「不倫相手に対する適切な慰謝料請求額の決め方【計算式はありません】」で取り上げています。
不倫慰謝料請求を実行する
これまでお伝えした段階を踏んだのなら、実際に不倫相手に慰謝料を請求することになりますが、請求の仕方も大事です。
一般的には【内容証明郵便】を利用して、不倫相手に慰謝料を請求します。
内容証明郵便とは、「いつ」、「どこの誰が」、「誰に対して」、「どんな内容の文章」を郵便局が証明してくれる一般書留郵便です。
一般の方なら、通常は受けとることがない形式の郵便物なので、受け取った側は心理的圧迫を感じます。
※ 内容証明郵便の詳細は「不倫問題で内容証明郵便を使うメリットを解説【請求書の例文あり】」で取り上げています。
スピード解決は期待しない
不倫相手に対する慰謝料請求を内容証明郵便で行えば、すぐに解決できるのか?
残念ながら、「慰謝料300万円払ってください⇒はい、払いました」みたいな流れは、まったく期待できません。あくまで話し合いがスタートしたに過ぎないと思ってください。
不倫相手との話し合いは次のような流れで行われます。
不倫相手との話し合いの流れ
内容証明郵便で慰謝料を請求する
↓
不倫相手から反論などがある
↓
反論などに対して回答
↓
不倫相手から反論などがある
↓
反論などに対する回答…続く
上のやりとりを何度も重ねて、ようやく話し合いに決着がつきます。
書き方を間違えると請求を無視される
最初の慰謝料請求書の内容が不適切だと、不倫相手はこちらとまともに話し合いをしようとせず、無視を決めこみます。不適切な内容とは、高額すぎる請求額だったり、不倫相手が回答しにくい内容などです。
慰謝料請求を不倫相手に無視されると、当然ながら強いストレスを感じます。無用なストレスを抱え込まないためには、慰謝料請求の文面がポイントになります。
1度で不倫相手からの謝罪を受けたり、慰謝料を払わせないからこそ、もっとも優先すべきなのが次のこと。
【不倫相手を話し合いのテーブルにつかすこと】
話し合いのテーブルにつかすためには、不倫相手をうまく誘導する書き方が必要です。
※ 話し合いのテーブルにつかすための書き方は「【不倫相手に慰謝料請求を無視された…】その原因と対象法を解説 」で取り上げています。
示談書を作成する
不倫慰謝料の請求のやりとりを重ねた結果、不倫相手がようやく慰謝料を支払うことに応じた。「終わったー!」と解放感や達成感に包まれるかもしれませんが、ここで気を抜いてはいけません。
慰謝料の支払いを確約させるための【示談書】の作成が必要です。口約束で済ませては絶対にいけません。
口約束で済ませると、次のように約束を反故される可能性が高いです。
口約束で済ませた結果…
「慰謝料の金額が200万円? 100万円の約束でしょ?」
「一括で払うとは言っていない、100回払いじゃないと無理」
「よくよく考えれば、やっぱり私は悪くないから払わない」
解決したと思った問題をふたたび蒸し返されるほど、苦痛なことはありません。
慰謝料の支払いの約束を反故されないためには、示談書の作成は必須です。
※ 示談書の詳細については「不倫(不貞行為)の示談書を解説【慰謝料の書き方や例文を掲載】 」で取り上げています。
【補足】不倫裁判を行う
世の中には、次のように道徳観が欠落している人間が一定数います。
何度も、「あなたの反論は不倫した責任を逃れる理由にはならない」、と説き伏せても、理解できない、理解しようとしない。または無視を続けたり、ゴネ続けていたら、そのうち諦めるだろう、と歪んだ思考をしている。
不倫相手がこんな人間なら、それ以上やっても時間の無駄ですし、不愉快な思いをしてストレスを溜め続けるだけです。
「もうこれ以上、相手にするのも馬鹿らしい」と諦めるのも選択肢の1つです。
裁判所が慰謝料の支払いを認める判決を出せば、不倫相手がどれだけ拒否し続けようが、最終的に払わすことが可能です。
※ 不倫裁判の詳細は「不倫裁判のメリット・デメリットや流れを解説【勝訴判決を得られる証拠】」で取り上げています。
まとめ
不倫相手に対する慰謝料請求の流れや全体像を解説しました。
最後に流れを箇条書きでまとめます。
- 慰謝料を請求できる権利があるかを確認
- 証拠を収集する
- 不倫相手の名前と住所を調べる
- 請求する金額を決める
- 示談書を作成する
全体像がわかることで、自身がやるべき行動がわかります。お伝えした各段階のポイントをぜひ参考にしてください。
慰謝料請求を成功させる鉄則
夫や妻の不倫相手に対する慰謝料請求を成功させるための鉄則を取り上げています。