このページは、生活費のやりくりにいつも困っている生活苦の人向けに、公的融資を活用することで生活苦から脱出するきっかけをつかんでもらえればと思って書きました。
Contents
生活福祉資金/使える公的融資一覧
生活福祉資金とは
「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者・高齢者・障害者などが安定して生活を送れるよう、資金の貸し付けと必要な相談・支援を行う制度です。
制度の実施主体は都道府県の社会福祉協議会で、県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となっています。
貸し付けの対象となるのは次の方々です。
・必要な資金を他から借りることが困難な「低所得者」
・障害者手帳などの交付を受けた人が属する「障害者世帯」
・65歳以上の高齢者が属する「高齢者世帯」
各世帯単位に、それぞれの状況に合わせた資金の貸し付けを行います。例えば、就職に必要な知識や技術等の習得・高校や大学等への就学・介護サービスを受けるための費用等です。
また、資金の貸し付けによる経済的な援助に合わせて、地域の民生委員が資金を借り受けた世帯の相談支援を行います。
平成21年10月から、資金の種類を総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4つに整理・統合するとともに、貸付利子を引き下げるなどの改正が行われました。
さらに平成27年4月より、生活に困窮している人を支援する「生活困窮者自立支援制度」が始まりました。総合支援資金を利用する方に対しては、生活困窮者自立支援制度による支援も合わせて行い包括的にサポートをしていきます。
総合支援資金とは
総合支援資金は、失業などによって生活に困窮している人が、社会福祉協議会とハローワークなどによる支援を受けながら、生活支援費や住宅入居費・一時生活再建費などの貸し付けを受けられる制度です。
貸し付けが受けられる資金の種類は以下の通りです。
・生活支援金
生活を再建するまでの間に必要な生活費として、原則3ヶ月(最大12カ月まで延長可能)月20万円までの貸し付けを行います。
・住宅入居費
住宅の賃貸契約を結ぶために必要な資金として40万円までの貸し付けを行います。対象は、敷金/礼金等・入居に際して当初の支払いを要する賃料/共益費/管理費・不動産仲介手数料・火災保険料・入居保証料等です。
・一時生活再建費
就職活動や技術習得・家賃や公共料金などの滞納の一時建て替え・債務整理に必要な費用などについて60万円まで貸し付けを行います。
これらの資金は連帯保証人なしでも貸し付けを受けられます。貸付利子は連帯保証人が要る場合は無利子・連帯保証人がいない場合は年1.5%です。
総合支援金の貸付対象者
総合支援金の貸付対象となるのは、貸付けを行うことにより自立が見込まれる方で、下記の要件にいずれも該当する人です。
・低所得者(市町村民税非課税程度)で、失業や収入の減少などによって生活に困窮していること
・公的な書類などで本人確認が可能であること
・現在住居のある人。または住居確保給付金の申請を行い、住居の確保が確実に見込まれること
・法に基づく自立相談支援事業などによる支援を受けるとともに、社会福祉協議会とハローワークなど関係機関から継続的な支援を受けることに同意していること
・社会福祉協議会などが貸付け及び支援を行うことにより、自立した生活を営むことが可能となり、償還を見込めること
・他の公的給付または公的な貸付けを受けることができず、生活費をまかなうことができないこと
※多重債務等の過大な債務を負っている方の場合
総合支援資金は自立に向けた取り組みを行う間の生活費等を貸し付けるもので、多重債務の借り換えを目的に貸付を行うものではありません。
そのため多重債務等の過大な債務を負っている方から社会福祉協議会へ借入相談があった場合は、多重債務相談を専門的に行う相談窓口や法テラス・法律専門家等をご案内することがあります。
なお債務整理を行う場合に、裁判所への予納金等、債務整理に必要な経費については総合支援資金(一時生活再建費)が利用できる場合がありますので、社会福祉協議会にご相談ください。
総合支援資金の貸し付けを申し込むには
離職される方が総合支援資金を利用するには、まずハローワークへの求職申し込みと職業相談が必要です。
また総合支援資金は原則として住居がある人を対象としているため、住居がない人は地方自治体で実施している「住居確保給付金」の申請を行い、今後住居の確保が見込まれるようにしておく必要があります。
総合支援資金の相談・手続きの窓口は、市町村の社会福祉協議会です。窓口で手続きの説明と用紙の交付を受けた後、申請書に下記の書類を添えて提出してください。
審査の結果貸付けが決定されると、住宅入居の貸付金は家主・不動産業者などの口座へ、それ以外の貸付金は本人の口座へ振り込まれます。
申請に必要な書類
・総合支援資金の借入申込書(社会福祉協議会の窓口で交付)
・健康保険証及び住民票の写し
・世帯の状況が明らかになる書類
・連帯保証人の資力が明らかになる書類
・求職活動などの自立に向けた取り組みについての計画書
・借入申込者が、他の公的給付制度または公的貸付制度を利用している場合、または申請している場合はその状況が分かる書類(ハローワークで発行)
・借入申込者の個人情報を、総合支援資金の貸付けに必要な範囲において関係機関に提供することについて記載されている同意書
・住宅入居費の借り入れを申し込む売位の添付書類
入居する住宅の不動産賃貸契約書の写し
不動産業者の発行する「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し
自治体の発行する「住居確保給付金対象者証明書」
・総合支援資金の借用書
・その他、社会福祉協議会は必要とする書類
生活福祉資金一覧
資金の種類 | 貸付限度額 | |
生活支援費 | ・生活再建までの間に必要な生活費用 | (二人以上)月20万円以内
(単身)月15万円以内 貸付期間:原則3月・最長12月以内(延長3回) |
住宅入居費 | ・敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 | 40万円以内 |
一時生活再建費 | ・生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難である費用
・就職/転職を前提とした技能習得に要する経費 ・滞納している公共料金等の立て替え費用 ・債務整理をするために必要な経費 等 |
60万円以内 |
福祉費 | ・生業を営むために必要な経費
・技能習得に必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費 ・住宅の増改築費、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費 ・福祉用具等の購入に必要な経費 ・障害者用の自動車の購入に必要な経費 ・中国残留邦人等に関わる国民年金保険料の追納に必要な経費 ・負傷または疾病の治療に必要な経費およびその治療期間中の生計を維持するために必要な経費 ・介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費 ・災害を受けたことにより臨時に必要となる経費 ・冠婚葬祭に必要な経費 ・住居の移転等、給排水設備等の設置に必要な経費 ・就職、技能習得等の支度に必要な経費 ・その他日常生活上一時的に必要な経費 |
580万円以内
※資金の用途に応じて上限目安額を設定 |
緊急小口資金
(注1) |
・緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用 | 10万円以内 |
教育支援費 | ・低所得世帯に属するものが高等学校、大学または高等専門学校に就学するのに必要経費 | (高校)月3,5万円以内
(高専)月6万円以内 (短大)月6万円以内 (大学)月6,5万円以内 特に必要と認める場合は、各限度額の1,5倍まで貸付可能 |
就学支度費 | ・低所得世帯に属するものが高等学校/大学または高等専門学校への入学に際し必要な経費 | 50万円以内 |
不動産担保型 生活資金 | 低所得の高齢者世帯に対し、一定の住居用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金 | ・土地の評価額の70%程度
・月30万円以内 ・貸付期間は借受人の死亡時までの期間または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間 |
要保護世帯向け 不動産担保型 生活資金 | ・要保護の高齢者世帯に対し、一定の住居用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金 | ・土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)
・生活扶助額の1,5倍以内 ・貸付期間は借り受け人の死亡時までの期間または貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間 |
注1:総合支援資金および緊急小口資金については、すでに就職が内定している場合を除いて「生活困窮者自立支援制度」における自立相談支援事業の利用が貸し付けの要件となります。
資金の種類 | 据置期間(※1) | 償還期限(※2) | 貸付利子 | 連帯保証人 |
生活支援費 | 最終貸付日から6月以内 | 据置期間経過後10年以内 | 連帯保証人あり→無利子
連帯保証人なし→年1,5% |
原則必要
(連帯保証人なしでも貸付可能) |
住宅入居費 | 貸付けの日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終日)から6月 | |||
一時生活再建費 | ||||
福祉費 | 貸付の日(分割による交付の場合は最終貸付日)から6月以内 | 据置期間経過後20年以内 | 連帯保証人あり→無利子
連帯保証人なし→年1,5% |
原則必要
(連帯保証人なしでも貸付可能) |
緊急小口資金 | 貸付の日から2月以内 | 据置期間経過後12月以内 | 無利子 | 不要 |
教育支援費 | 卒業後6月以内 | 据置期間経過後20年以内 | 無利子 | 原則不要
(世帯内で連帯借受人(※3)が必要) |
就学支度費 | ||||
不動産担保型
生活資金 |
契約の終了後3月以内 | 据置期間終了時 | 年3%または長期プライムレート(※4)のいずれか低い利率 | 必要(推定相続人(※5)の中から選出) |
要保護世帯向け
不動産担保型 生活資金 |
不要 |
※1:据置期間とは、資金の借入後返済を開始するまでの猶予期間のことである。
※2::償還期限とは、借入金を返済する期間のことである。
※3:実際に就学する子ども等が借入申込者となり、子どもの生計を主として維持する者が連帯借受人になるものとする。
※4:長期プライムレートとは、銀行が最優良企業に貸出しをする際の最優遇金利のことである。貸出し期間が1年以上のものを長期プライムレートという。
※5:推定相続人とは、将来相続が開始した場合に相続人となるはずの者のことである。
上記の生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金と下記の臨時特例つなぎ資金貸付は別物
生活保護・福祉一般 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/index.html
臨時特例つなぎ資金貸付とは
失業給付や住居確保給付金などの離職者を支援するための公的給付制度または公的貸付制度を申請している住居のない離職者のうち、給付・貸付けが開始されるまでの間、当面の生活費を必要とする人は、「臨時特例つなぎ資金貸付」を活用することもできます。
10万円までの資金を、連帯保証人なし・無利子で貸し付けするものです。貸し付けを希望する場合は市区町村の社会福祉協議会の窓口にご相談ください。
臨時特例つなぎ資金貸付の貸付対象者
住居のない離職者であって、次のいずれの条件にも該当する方。
・離職者を支援する公的給付金制度(失業等給付・住宅手当等)または公的貸付制度(就職安定資金融資等)の申請を受理されており、かつ当該給付金等の開始までの生活に困窮していること。
・貸し付けを受けようとする方の名義の金融機関の口座を有していること
生活福祉資金以外の公的貸付制度・公的給付金
生活福祉資金貸付制度以外の公的な貸付制度や給付金をご紹介します。
公的な貸し付けや給付を受けるためには、申請が必要です。出産・子育て・就学・就職など各世帯の状況に合わせて受けられる貸し付け・給付金がありますので、当てはまるものが無いか確認してみましょう。
公的給付金制度(該当すれば返還の必要無し)
出産・子育てをしている世帯すべてが給付対象になるのが「出産育児一時金」と「児童手当」です。どちらも申請しないともらえませんので、該当する方は早めに申請してもらい忘れのないようにしましょう。
出産育児一時金
健康保険の加入者・またはその配偶者や扶養者が出産したとき、出産育児一時金が給付されます。(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産された場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)
¥加入している健康保険組合や地方自治体に給付申請をしてください。
児童手当
日本国内に住む0歳以上中学卒業までの児童が対象となる手当です。所得・子供の年齢により金額は異なりますが、すべての世帯が給付を受けられます。
お住いの地方自治体が申請窓口です。
ここから紹介する給付金は、給付対象が限られています。ご自身が対象になるかわからない場合は各申請窓口に問い合わせてみてください。
職業訓練受講給付金
雇用保険を受給できない求職者の方(受給を終了した方を含む)が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができます。
給付額は職業訓練受講手当が月額10万円。必要に応じて通所手当や寄宿手当も給付されます。申請窓口は原則として住所地を管轄するハローワークです。
児童扶養手当
父または母が死亡した場合など、父母のどちらか一方からの養育しか受けることができない、いわゆる母子家庭・父子家庭などのひとり親家庭のために設けられた手当です。
受給者の所得制限のほか同居の扶養義務者についても所得制限が設けられており、養育費を受け取っている場合はその8割が受給者の所得として算入されます。その他に受給者または児童が公的年金を受給することができ年金の額が手当の額よりも低いときは、その差額分の手当を受給するという併給制限もあります。
2017年の支給額は児童が1人の場合は42,290円。第2子の加算額は9990円・第3子以降の加算額は1人につき5,990円。申請窓口は地方自治体です。
児童育成手当
児童扶養手当と同じく、離婚、死亡等でひとり親になった方や、父または母に重度の障がいがある方に支給される手当です。
児童育成手当は受給者のみに所得制限が設けられており、限度額は「児童扶養手当」よりも高く設定されています。同居の扶養義務者の所得制限や養育費の所得算入・年金受給による手当額の併給制限はありません。
給付額は各自治体により異なりますのでご確認ください。
ひとり親家庭医療費助成事業費
ひとり親家庭等医療費等助成事業は、母子家庭または父子家庭等の経済的負担を軽減するため、医療費等にかかる自己負担額の一部を助成します。自治体によって助成額が異なります。
生活福祉資金以外の貸付制度
高額医療費貸付制度
高額療養費の払い戻しを受けるには診療月から3か月以上後になるため、当面の医療費の支払いに充てる資金として、無利子で「高額療養費支給見込額の8割相当額」の貸し付けを行います。申請窓口は健康保険に加入している組合や地方自治体です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金
母子(父子)家庭や寡婦の方に、経済的自立や子どもの福祉向上を図るため「修学資金」をはじめ各種資金を貸し付けています。児童(ここでは20歳未満)を扶養している母子家庭や父子家庭、寡婦の経済的自立を応援するための貸付制度です。
貸付金の限度額や利率などは、借り受ける資金の用途により「修学資金」「就学支度資金」「就職支度資金」「結婚資金」「住宅資金」など12種類に分類されます。各自治体ごとに貸し付けの基準や金額が異なります。
年金担保貸付事業
年金担保融資制度は、国民年金、厚生年金保険または労働者災害補償保険の年金を担保として融資することが法律で唯一認められた制度です。保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入などの支出のために一時的に小口の資金が必要な場合に貸し付けを受けられます。
申込みは、年金を受け取っている銀行・信用金庫等の店舗にて行います。
求職者支援資金融資
「求職者支援資金融資」は、求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象とした貸付制度です。
貸付額は、月額5万円(上限)または 10万円 (上限)×受講予定訓練月数です。配偶者の有無などにより上限は異なります。
申請窓口、原則として住所地を管轄するハローワークです。
教育一般貸付(国の教育ローン)
家計の教育費の負担を軽減し、子供たちの進学・在学を応援するために設けられているのが、「国の教育ローン」です。国の教育ローンは日本政策金融公庫が行う公的な融資制度で、長期固定金利でいつでも必要なときに申し込むことができます。
貸付額は子供1人につき350万円以内。外国の短大・大学・大学院に6ヵ月以上在籍する資金として利用する場合は450万円以内(海外留学資金以外の融資金を含みます)。
申請窓口は日本政策金融公庫の各支店です。またインターネットによる申込みも受け付けています。
ご紹介した以外にも、国や都道府県が行っている公的な貸付・給付金制度はたくさんありますし、独自に定めた支援を行っている地方自治体も多いです。このような制度は時代に合わせて改正されること多く、インターネットだけで最新の情報を集めるのは難しいかもしれません。
就学や就職・結婚・子育て・介護など生活の中で困ったことがあったら、お住いの地方自治体の窓口に相談してみてください。
1回しか使う予定がないなら無利息期間のあるカードローンから、
複数回利用するかも知れないならできるだけ低金利から、選んでくださいね。
一時的にお金を借りるなら目的別にきちんと考えよう
生活資金が厳しい場合(当ページ)
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生活苦しい お金を借りたい⇒社会福祉協議会いくら借りれる?生活福祉資金
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